ラブアン法人とマレーシア法人の就労ビザ取得までの手順や費用の比較(※MM2Hとの比較にも言及しています)

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マレーシアでは、就労ビザというのは個人が移民局に申請するものではなく、就労予定の法人から、その法人で就労するための就労ビザを申請することになります。

そして、マレーシア法人とラブアン法人とでは、就労ビザを取得するまでの手順に大きな違いがありますので、今回はその違いについてご説明しようと思います。MM2Hとの比較についてもふれていますので、マレーシア移住のためのビザの問題でお悩みの方はぜひご覧ください。

 

【マレーシア法人で就労ビザを取得するまでの手順】

(1)居住取締役2名を確保。ご自身でマレーシア国内にコンドミニアムを借りるか、カンパニーセクレタリー会社の名義貸しサービス(有料)を利用するか。

(2)社名予約(数日)

(3)定款・宣誓書等の登記書類に署名 ※原則としてマレーシア国内にて署名。

(4)法人設立登記(約1週間)

(5)法人口座開設(約1週間~1か月) ※来馬必要。

(6)事業内容ごとに必要な許認可や就労ビザ申請に必要とされる最低資本金を払い込み。(数日~1週間)

(7)増資手続き(1~3週間)

(8)オフィス開設やマレーシア人スタッフ採用(※1)

(9)市役所へ事業所ライセンス取得(数週間) ※地域や業種によっては不要。

(10)各事業を管轄する省庁等からの許認可を取得 (数か月)

(11)就労ビザを申請、そして取得!(数か月)

※1 法定の要件ではないですが、就労ビザ申請前にマレーシア人スタッフを採用することが推奨されています。

 

【ラブアン法人で就労ビザを取得するまでの手順】

(1)社名予約申請 (数日)

(2)定款・宣誓書等の登記書類に署名 ※マレーシアへ来る必要なく、マレーシア国外でも署名可能。

(3)法人設立登記(約1週間)

(4)就労ビザ申請、そして取得!(約1か月半~2か月)

※居住取締役は不要。よって、有料の名義貸しサービスを利用したり、自身で事前にコンドミニアムを借りる必要無し。

※ラブアン法人の場合、オフィス設置や法人口座開設や資本金振り込みは、無事に就労ビザが認可された後でOK。

※マレーシア人スタッフを採用しなくてもビザ取得は問題なく可能。

※ライセンスの取得が必要な金融関係事業以外の業種(一般的な貿易業、コンサルティング業、IT事業、持ち株会社等)は、就労ビザ申請前にライセンスの取得不要。

マレーシアへ来るのは、就労ビザが認可された後、ビザ受け取りのために1度でOK(ラブアン島移民局にて受け取り)。ビザをラブアン島で受け取っていただいた後、クアラルンプールへお立ち寄りいただき、法人口座の開設申請が可能です。

 

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上記の通り、マレーシア法人とラブアン法人とでは、就労ビザの申請手順と要する期間に大きな違いがあります。そして見ての通り、マレーシア法人の方で就労ビザを取得するまでの道のりはなかなか大変ですし、何度もマレーシアへ来る必要がありますので、時間も費用もかかります。居住取締役2名を満たすためにコンドミニアムの賃貸料もしくは名義貸しサービスの利用料が発生することにもなります。

かといってラブアン法人での就労ビザ取得をすべての人にお勧めかと言いますとそうでもなく、ラブアン法人はマレーシア国外のビジネスや投資や子会社保有をするための法人ですので、就労ビザをラブアン法人で取得したとしても、マレーシア国内でビジネスをしたい場合には別途マレーシア法人を子会社として設立する必要があります。なお、子会社マレーシア法人においては、日本人駐在員はおかずにローカルスタッフのみで運営するなら、マレーシア法人の方に関して上記のような手順をすべて踏む必要はなく、もっとシンプルにマレーシアビジネスをスタート・運営することが可能です。マレーシア法人の方に日本人駐在員を置きたい場合には上記の手順が必要となります。

これからマレーシアに移住されるご予定の方はどのビザ(MM2H or マレーシア法人の就労ビザ or ラブアン法人の就労ビザ)を選択するかで悩んでいるかと思います。

ビザ取得までの期間の比較でいいますと、ラブアン法人の就労ビザとMM2Hが同じくらい早く(最短2~3か月)、そしてマレーシア法人での就労ビザ取得は業種にもよりますが基本的には一番時間がかかります(数か月から長引けば1年)。

費用(初期費用・法人維持コスト・個人所得税のトータルコスト)の比較では、MM2Hが一番安く、ラブアン法人が二番、そしてマレーシア法人が三番かと思います。ただ、費用の比較については、どこまでの費用を含めるかにもよりますので一概には言えません。MM2Hは比較的高額のお金を定期預金する必要がありますし(50歳未満の方は30万リンギット。50歳以上の方は15万リンギット。また、審査の段階ではさらに高額の資産証明が求められます)、MM2Hで法人を設立するなら結局その費用は別途かかります。法人の就労ビザを利用する場合、マレーシア法人の場合はかなり高額の資本金(外資100%の場合は50万リンギまたは100万リンギ)が、ラブアン法人の場合もそれなりに高い金額の資本金(25万リンギ)が要求されますが、MM2Hで求めらる定期預金とは違い、資本金はいったん入金した後、その法人の事業や投資に使うことができるという点はメリットです。さらに、ラブアン法人の場合は資本金の入金時期について比較的融通がききます。ただ、ラブアン法人の就労ビザを利用する場合は、マレーシア国内でビジネスをするならマレーシア法人設立・維持費用が別途かかります。その費用や資本金はローカルスタッフのみで運営するか、日本人駐在員を置くかによってかわってきます(グレーゾーンをどこまで踏み込むかによっても変わります)。つまり、移住後のそれぞれの目的等によってもトータルコストは変わってきますし、MM2Hの定期預金を受け入れることができるかによっても結論は違ってきます。また、そもそも、ラブアン法人やマレーシア法人はビジネスとしての実体が必要ですし、法人を使いこなす知識もある程度は必要ですので、ビジネスの実体がない場合には維持が難しいとお考えください。

弊社では、マレーシア法人の就労ビザ、ラブアン法人の就労ビザ、そしてMM2Hまで、弊社とその提携先(カンパニーセクレタリー、会計事務所、法律事務所、MM2H代行会社など)にてすべてお手伝いさせていただくことが可能ですので、ぜひご相談ください。

 

2015年10月17日

司法書士 熊木 雄介
Email: info@office-kumaki.name
※お仕事のご依頼につきましては、まずはEメールにてご相談内容の詳細をお送りいただけますと幸いです。

 

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