皆さま、あけましておめでとうございます。
本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
年末年始は大阪と神戸でせっせと仕事をこなし、
1月6日にKLへ戻ってきた後はひたすら面談の日々でした。
そして、1月から3月はラブアン法人の法人税申告のシーズンですので、
今からまたさらにバタバタの日々に突入します。
さて、新年一つめのブログ記事は、
マレーシア法人のGST登録(消費税課税事業者としての登録)について。
年間売上50万リンギットを超えるマレーシア法人は、
消費税課税事業者として登録(GST登録)をする必要がありますが、
売上が50万リンギに満たない場合でも、会社が希望すれば、GST登録申請をすることが認められています。
GST登録をすることで、
経費や仕入れなどの際に支払ったGSTの還付請求を受けることができる、
という点がメリットですので、
これに魅力を感じ、GST登録をしたいというご相談をお受けすることがあります。
この点、
確かに、GST登録をすることで、支払ったGSTの還付請求をすることができる点はメリットですが、
ひとたびGST登録をした場合には、
少なくとも3ヶ月に一回はGSTの申告をしなければならないということとなり、
そして、3ヶ月に一回はGSTを申告しなければならないということは、
3ヶ月に一回は会計帳簿をある程度完成させる必要があり、
中小企業さんにとっては、結構な作業負担となります。
また、マレーシアのGST制度は結構複雑ですので、
慣れた会計スタッフが社内にいる会社ならともかく、
そのような人材がいない、進出したての中小企業さんにとっては、会計帳簿作成を会計事務所に外注せねばならず、
まだほとんど売上がないような時期から、会計事務所に対する支払いが発生しはじめる
という点も考慮していただく必要があります。
さらには、
ひとたび会計事務所が記帳代行などで関与しはじめると、
それまではなんとなくうやむやになっていたグレーな論点についても、
その時点で法律に則って処理することが求められるようになり、
そのコンプライアンスコストも顕在化してくることとなります。
(会計事務所としては、気がついた以上は指摘しておかないと、自身の責任になってしまいますので。)
もちろん、グレーな論点は、法律的には、出来る限り早い段階できれいにしておくに越したことはないですし、
私としても基本的にはそのようにアドバイスしておりますが、
他方で、中小企業の実務として、
何も気づかないうちに、グレーな論点が問題視されることなく、いつのまにか時間が過ぎ去っていたというようなこともよくあることですし、
中小企業の現場では、すべての論点が明らかになり、結論を迫られるということも良し悪しです。
対して、
GST登録をしていない場合は、
会計帳簿の作成は初年度の監査まで先延ばしすることもできないこともありません。
この点は、中小企業にとっては、わりと大きなメリットのような気もします。
もちろん、重大な問題に気が付かないまま、違法状態を継続してしまう
というリスクはあります。
ただ、会計スタッフも雇えず、会計事務所に外注しなければならない程度の売上や利益状態であれば、
万が一ミスが発生していたとしても、
致命的なミスといえるほどのものではない可能性が高いともいえます。
ということで、
GSTの任意登録を検討している企業様は
様々な点を考慮のうえ、そのままGST登録に進まれるかどうか
をご決定いただければと思います。
それではまた。
2017年1月16日
司法書士 熊木 雄介
Email: info@office-kumaki.name
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