ラブアン税法の改正法がようやく官報公告されました。

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こんにちは。
KSG Holdings Ltd.の司法書士の熊木です。

 

1.ラブアン法人税法の改正法がついに官報公告されました。

ラブアンの税制改正に関して、最終的な官報公告を待っていたものとして
以下の2つがありました。

1)ラブアン税法(Labuan Business Activity Tax Act)の改正法

2)ラブアン税法において、「ラブアン法人は、財務省が別途定める規則(Regulations)に従い、それぞれの事業の目的のための、ラブアンにおけるフル勤務従業員、ラブアンにおける経費支出を持つものとする」と定めされているので、各業種ごとの実体要件の改正

 

これに関しまして、
2020年2月10日、ひとまず「1)ラブアン税法の改正法(Labuan Business Activity Tax (Amendment) Act 2020)」が
官報公告されました。

改正法の原文は以下のリンクからご覧いただけますので、ご確認ください。

Labuan Business Activity Tax (Amendment) Act 2020
http://www.federalgazette.agc.gov.my/outputaktap/20200210_A1614_BI_Act%20A1614%20BI.pdf

 

なお、この改正法の法案自体は、2019年12月中頃にマレーシア議会で承認されていたものであり、
それをうけて、2019年12月にラブアン当局から改正の方向性としてアナウンスされていたものと重なるものです。
したがいまして、今回は特にインパクトのある新しいニュースはありません。

2019年12月の改正案から、若干のマイナーチェンジは加えられているようですが、
特にインパクトのある変更ではないと言われています。

なお、官報公告されたのは2020年2月20日ですが、
その改正法の重要部分はほぼすべて2019年度(=『2019年1月1日から2019年12月31日まで』の年度)に遡って適用される
ということになっています。

 

この改正法が官報公告され、確定したことにより、

ラブアン税法自体の中に、3%と24%の二種類の税率をもうけ、実体要件を満たさなかった場合には24%を適用すると直接定める

というラブアン税法の根幹は決定されました。

また、これまで、ラブアン税法では、法人に対しては税務調査に関して明記されていませんでしたが、
今回の改正法により、ラブアン法人に対する税務調査の規定が明記されるようになりました
これにより、今後、ラブアン法人の法人税に関しても税務調査の対象となりますので、
今まで以上に、マレーシア側の税務に関しても注意を払って毎年の帳簿作成・税申告を行うことが必要です。

 

2.業種ごとの実体要件の改正については正式発表(官報公告)はまだです。

一方で、
最近のラブアン当局からのアナウンスにおいて何度かに渡って言及されていた

「どの業種に、どのような実体要件(=何名のスタッフ、何名の支出)が求められるか」という部分の改正(上記の(2)の財務省による規則の改正)

については、
まだ官報公告はされておりませんので、
こちらについてはまだ待つ必要があります。

ただ、2ヶ月以上保留にされていたラブアン税制の改正法の公告がついに実施されましたので、
この実体要件の改正案の発表もまもなくかもしれません。

 

3.今後注視していただくべき論点

今後、注視していただくべき論点としては、
やはりまずは、各業種ごとの実体要件がいつ発表され、その内容がどのようなものであるか
という点がまずひとつ。

そして、
もしその財務省から発表されるリストに実体要件が定められなかった業種があった場合、
その業種は

実体要件を満たさなくても3%の優遇税制を享受できるのか
あるいは
それらの業種は、もはや税法上はラブアンの優遇税制は享受できないものとなるのか

という点も、非常に重要なポイントです。

さらに、
実体要件が適用されることとなった業種については、

    • 実体要件が定められた業種には具体的にどのような業種が含まれるか? 例えば、「Management Service」とは? 「Agency Service」とは?
    • そこに定められている「二名以上の従業員」「5万リンギット以上の支出」というような最低要件を満たせば、3%を享受できるのか、あるいは、それらはあくまでも「最低要件」に過ぎず、ケースバイケースで売上額や事業内容等によっては、それ以上の人数の雇用などを求められる可能性があるのか
    • 「フル勤務の従業員」はどの程度ラブアンに滞在することが求められるのか。頻繁に出張し、ラブアンを離れている「ラブアン法人で就労ビザを取得した外国人」は1名としてカウントされるのか
    • 「フル勤務の従業員」について、BVI等のタックスヘイブンが定めたような、「現地専門家に対する外注サービスを利用する」等によって要件を満たすことは認められる余地はないか
    • ラブアン島において経営判断が行われている、というためには、取締役はどの程度の頻度でラブアンを訪問する必要があるか
    • ラブアン島における支出とはどのようなものまで含まれるか

等々の様々な論点があります。

おそらく、上記のような論点に対する回答がすぐに明示されることはなく、
実体要件に関する改正が正式に官報公告された後も、その内容や言葉の解釈に対して、
少なくとも今年一杯は議論が続くという不安定な状態になるのではないか思いますが、
早期の回答を期待したいところです。

 

それではまた。

2020年2月14日

司法書士 熊木 雄介
Email: info@office-kumaki.name

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