取締役の名義貸しサービスを利用して、マレーシア現地法人を設立。

この記事を読むのにかかる時間: < 1

マレーシアで現地法人(SDN. BHD.)を設立する際には、マレーシアに居住する取締役 Residential Director が最低2名必要です。

マレーシア会社法(Companies Act 1965) 第122条の第1項にその規定があり、以下のように規定されています。

(1) Every company shall have at least two directors, who each has his principal or only place of residence within Malaysia.

his principal or only place of residence とありますので、これを読む限りでは「すでに何らかの長期滞在ビザをもってマレーシアに滞在している人」以外の人が居住取締役として認められるのはなかなか困難に思えます。が、実務上は、法人登記の申請先であるマレーシア会社登録委員会 Company Commission of Malaysia が「居住取締役」に対して厳格な審査をしないということもあり、かなり柔軟な対応がとられています。

とはいえ、どうしてもこの条件を満たすことができないこともあり、その場合どうするかと言いますと、カンパニーセクレタリー会社や会計事務所等が提供する「名義貸しサービス」を利用することを検討することになります。

名義貸しサービスとは、「カンパニーセクレタリー会社等が『居住取締役』を紹介してくれる」というサービスで、多くの場合はそのセクレタリー会社等に勤務するマレーシア人が御社の居住取締役となります。ノミニー取締役サービスと言ったりもします。

彼らは名前を貸すだけですので、経営には一切口は出しません。

このサービスを利用することで、創業者自身は日本に住みながらも、マレーシアに現地法人を設立することが可能となります。マレーシアリンギット建ての法人口座をマレーシアにて開設し、オンラインバンキングで遠隔操作するということも可能です。

ちなみに、マレーシア法人の「株主」はマレーシア居住者である必要はありませんので、株主については名義を借りることは必須ではありません。

なお、取締役として名前を貸すことは貸す側にリスクが伴いますので、すべてのセクレタリー会社がこのサービスを提供しているわけではありません。また、一応サービスとしては準備はしているけれど、本音ではできれば名義貸しはしたくないというセクレタリー会社も多いというのが現状です。

 

「マレーシアへ移住するのはもう少し先だけれど、ひとまず先にマレーシア現地法人を設立し、現地でのビジネスをスタートしたい」

という方がいらっしゃいましたら、ぜひ弊社へお声がけください。

居住取締役の名義貸しサービスを提供しているセクレタリー会社及び会計事務所をご紹介するとともに、法人口座の開設もお手伝いさせていただきます。ご自身がマレーシアへ移住された後は、すぐに名義貸しサービスを解除し、取締役を変更することが可能です。

ちなみに、弊社がお手伝いしているもうひとつの法人形態であるラブアン法人では「居住取締役」は不要ですので、名義貸しサービスを利用することなく、日本に居住されている段階から法人設立に着手することが可能です(ただし、実際にラブアン法人をビジネスに活用されるのは、生活の本拠をマレーシアへ移す等により日本の税法上の「非居住者」になった後をお勧め致します)。

2015年10月12日

司法書士 熊木 雄介
※お仕事のご依頼に関しましては、まずはEメールにて概要をお送りいただけますと幸いです。

 

 

この記事を読んだ方は次の記事も読んでいます。

タイトルとURLをコピーしました