こんにちは。
KSG Holdings Ltd.の司法書士 熊木です。
2025年初めての投稿となります。
本年もどうぞ宜しくお願い致します。
2024年秋に発表された2025年マレーシア予算案において提案されていた税制改正案が
正式に議会で承認されておりますので、マレーシア居住者やマレーシアで会社経営をされている方は注意が必要です。
なお、官報公告の内容は、下記のウェブサイトにてご確認いただけます。
予算案で提案されていた税制改正案のうち、どの改正案がどのような内容で正式に承認されたかについては、私としてもまだ詳細は確認中です。詳細が確認でき次第、このブログにてシェアをさせていただきます。
ひとまず、弊社クライアントに関係がありそうな改正点の概要は以下のとおりです。今のところ、実務的に大きな影響があるのは下記の1、2、3の3つという印象です(特に2の電子インボイス制度)。
- 株式配当収入への課税:個人株主が年間10万リンギを超える配当を受け取った場合、10万リンギを超える配当所得に対して2%の課税。
- 電子インボイスの完全実施(2025年7月1日):これまで段階的に導入されてきたE-Invoice制度が、いよいよ2025年7月1日から全ての企業(ラブアン法人含む)が対象となります。以降、請求書を発行する際には都度、マレーシア税務署のオンラインシステムで認証を受けて発行する必要があり、請求内容の修正や取り消しなどもシステムを通す必要があると思われるため、請求書を発行する際にはこれまで以上に注意が必要。マレーシア税務署のオンラインシステムと連携された会計システムを導入し、会計システム経由で請求書を発行するということも可能(弊社提携先ラブアン信託会社がマレーシア税務署のオンラインシステムと連携された会計システムをご紹介していますのでお問い合わせください)。
- マレーシア法人において会計監査の免除(中小企業):「現在および過去2会計年度の年間収益が300万リンギットを超えないこと、現在および過去2会計年度の総資産が300万リンギットを超えないこと、現在および過去2会計年度末の従業員数が30人を超えないことのうち、いずれか2つの基準を満たす」マレーシア法人に関して、Auditorによる会計監査が免除される、ということになったようです。
ただ、この件に関して会計事務所と少し話をしましたところ、現行の税務の制度においては、結局のところ、会計監査もしくはそれに類する手続きを踏まないことには、Tax Agent(税務代理人)が法人税額の計算を行うことが難しい制度になっているらしく、税務のその他のルールも変更しないことには、実際に会計監査無しで税申告を完結させるのは難しいかもしれない、とのことでした。この点の今後のアップデート待ちです。 - ラブアン税制の変更:課税年度や税申告方法(E-Filing)やペナルティの変更などが行われましたが、今のところ実務に大きな変更を及ぼすものではないと考えております。なお、これまで、ラブアン税制の申告は「事業年度末から3ヶ月以内」でしたが、今回の改正により、「事業年度末から7ヶ月以内」となりそうです。ただ、税務署に確認したところ、2024年12月末期の申告に関してはこれまでと同様に3ヶ月以内とされており、2025年12月末期に関する税申告から適用になるとのことです。
- EPF(年金)への加入が外国人も必須に(?):昨年からこの点が議論されておりますが、現場からの反対意見が多くあがったことなどもあり、今のところまだ実施には至っておらず、アップデート待ちとなっております。2025年になってから管轄の役所に問い合わせを行いましたが、やはりまだ確定していないようでした。
- 印紙税(Stamp Duty):印紙税の算出方法の変更などが行われました。実務的にはそれほど大きなインパクトをもたらすものではないと考えています。
- グローバル・ミニマム税(15%)の多国籍企業への適用:これも多国籍企業が対象ですので、弊社クライアント様には今のところ適用されないものと思われます。
弊社オンラインストアで販売している『ラブアン法人ガイド』にも改正内容を反映させていきたいところですが、まだ詳細が判明しない部分があるため、もう少し情報が集まってから反映をさせる予定となっております。
それではまた。
2025年1月8日
司法書士 熊木 雄介
Email: kumaki@jm-experts.net
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