こんにちは。
KSG Holdings Ltd. の司法書士 熊木です。
今回は、すでにラブアン法人を設立されている方、あるいはこれから設立を検討されている方へ、金融・決済周りの新しい選択肢をご紹介させて頂こうと思います。
マレーシアでの法人の運用において、多くの方が直面する課題の一つが「銀行口座」や「決済システム」の使い勝手です。
すでにマレーシアで法人運営をされている方の中には、
「既存の法人口座のオンラインバンキングが使いにくい」
「海外からの売上をリンギットや米ドルへ両替する際の銀行の為替レートが悪い」
といったお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
そんな中、グローバル金融プラットフォーム「Airwallex(エアウォレックス)」のジャパンデスクの方からご連絡をいただき、ラブアン法人やマレーシア法人がAirwallexで口座開設をする際に、日本人の担当者をご紹介できることとなりました。なお、アフィリエイトのリンクまで頂いたのですが、メリットだけでなくデメリット面も忖度なく書くことをご了承頂いたうえでこの記事を書かせていただくことなりました。
以下、概要やコスト等をご案内しますのでご参照ください。
弊社自身も昨年の春頃にAirwallex Malaysiaのウェブサイトから口座を開設済みです。ただ、忙しさに負けて活用しないままとなっておりましたので、この機会に活用法を探っていこうと考えております。弊社宛のお支払いに関して、今後Airwallexでのお支払いも承ります。
Airwallexの概要
公式サイト:Airwallex

まず、知らない方のために簡単に説明しますと、Airwallexは、ビジネス向けのグローバルな金融プラットフォームです。 簡単に言えば、「複数通貨の受取・保管・送金が行えるオンライン口座」のようなイメージです。
海外クライアントから外貨(米ドルや日本円など)で支払いを受け取り、そしてラブアン信託会社や海外取引先への外貨送金などを、このアカウントで完結させることができます。他の通貨へ両替をしたうえで送金することもできます。
オンラインの金融プラットフォームと聞くとPaypalやStripeやWiseをイメージされる方がおられるかもしれませんが、Airwallexは単なる「送金サービス」や「決済代行業者」ではありません。
Airwallexはほぼ銀行口座のような使い方が可能です。顧客等の第三者からの銀行送金を受け取ることもできますし、Airwallex内の残高から直接他の銀行へ送金することができます。マレーシア国内への送金も可能ですし、国際送金も可能です。米ドルや日本円で受け取り、そのまま米ドルや日本円建てのまま保管し、他の通貨へ両替したうえで送金することができたりします。
ラブアン法人の場合の使用例
ラブアン法人のケースで具体的な使用例を挙げますと、以下のような使い方が想定されます。
- 日本の顧客から日本円建てで支払いを受ける。顧客側がAirwallexの口座を持っていなくても、銀行送金等で御社のAirwallexの口座へ送金していただくことができます。
- 受け取った日本円をAirwallex内でマレーシアリンギットに両替を行い、自身に対して給与や配当を支払う。
- 受け取った日本円を米ドルに両替し、ラブアン信託会社等へ支払いを行う。

ラブアン法人がAirwallex口座を利用する際の注意事項
ただ、ラブアン法人がAirwallexを利用する場合、いくつかの注意事項があります。
注意事項1:リンギット口座は不可。
ラブアン法人がAirwallexを開設する場合は、Airwallex 香港で口座が開設されるため、マレーシア・リンギットの口座を開設することはできません。しかし、リンギットとして保管することはできませんが、保管している米ドルや日本円等の口座から送金をする際に、リンギットに両替してリンギット建てで送金をすることは可能です。
注意事項2:受け取り手数料。
通貨や入金パターン(オーナー口座からかどうか等)に応じて受取額の 0~0.3% 前後の受取手数料がかかります。
なお、Airwallexの管轄によっては受け取り手数料が無料の国もあるようですが、ラブアン法人が振り分けられるAirwallex香港の場合、この受け取り手数料がかかってしまうようです。一般的な銀行口座と比較した場合にどちらが安いかはケースバイケースですが、たとえば、日本円建てで受け取ったものを米ドルに両替して支払いを行うというような場合は、「為替の両替手数料と送金手数料」の合計額で比較すると、一般の銀行口座での両替+送金よりも安くなる場面もあるかと思います。
なお、Airwallexの受け取り手数料に関しては、事案によってはジャパンデスクでご相談も可能とのことでした。
注意事項3:リンギット送金は銀行よりも手数料が高い。外貨送金はケースバイケース。
ラブアン法人の場合、外貨での海外送金だけでなく、マレーシア国内向けにリンギットで送金する場面もあるかと思います。この点、マレーシア国内の相手に対して、リンギットに両替をして送金をすることは可能ではあるのですが、弊社のAirwallex口座で試したところ、送金手数料として一回あたり最低USD 5 を要しました(下記画像をご覧ください、USD100をMYRに両替して送金する場合の手数料としてUSD5と記載されております)。

なお、ラブアン法人ビザの維持要件である月額10,000リンギに近い金額(切りよくUSD3,000)をリンギットで送金する場合にどの程度の手数料かを確認したところ、この場合も手数料はUSD5でしたので、一般の銀行口座で銀行の為替レートで両替のうえでMYR送金する場合と比較すれば、トータルではこちらが安いかもしれません(銀行側の両替手数料などがブラックボックスですので正確な比較ができませんが)。

ラブアン法人はマレーシア国内のラブアン信託会社等にUSD建てで送金する場面が多々ありますので、USD建て送金についても付記しておきますと、送金先をマレーシアに指定した場合はUSD100を送金する場合も、USD3,000を送金する場合も手数料はUSD15でした。


銀行で海外送金をする場合と同様に、請求書に記載された請求額の満額が相手方の口座に着金するように「送金に関する手数料は中継銀行の手数料も含めて送金者の負担とする」という送金方法も取れるようになっています。この方法を取った場合、送金手数料としてUSD25と表示されました。

注意事項4:クレジット決済サービスやコーポレートカードがない。
通常、Airwallet はクレジット決済等の決済サービスや、経費精算やオンライン取引で利用できるコーポレートカードの発行にも対応しています。しかしながら、今のところラブアン法人のようないわゆる「オフショア法人」の場合はこれらの利用ができないとのことです。ラブアン当局はラブアン法人を一般的なオフショア法人と区別してもらうためにオフショアとオンショアの間を意味する「ミッドショア」と呼び、オフショア法人の分類から外して認知してもらえるように努力し続けておりますが実らずです。将来的にラブアン法人もオフショアの括りを抜けてオンライン決済やカード発行が認められるようになることを期待したいところです。
注意事項5:使いやすさの裏側にあるリスクにもご注意を
送金手続きなどが銀行よりも簡単にスピーディーにできるということは、銀行に対して課せられている様々な規制がないことの裏返しである可能性があり、それはもしかすると顧客を保護する機能が銀行よりも低いということかもしれません(もちろんITなどを駆使したAirwallexの企業努力の面もあるかと思いますが)。メリットの裏側にはそのために犠牲となっているものもあるはずですので、その点はご自身においてしっかりと精査されたうえでご利用ください。心配な方は、大きな資金は銀行口座に移しておき、当面の決済用の資金のみAirwallexの口座に残しておく、というような使い方もありかと思います。
口座開設をご検討の方へ
ひとまず概要を説明させていただきましたが、私自身もまだAirwallexのシステムを完全に熟知しているわけではありませんので、もしかすると上記の情報に誤っている部分があるかもしれません。詳細な仕様や最新の条件については、実際に口座開設を進める前に、ジャパンデスクの担当者様へご自身でしっかり確認・判断いただくことをお勧めします。
ラブアン法人名義の口座の場合、Airwalexの提供する全てのサービスを利用できるわけではないですので今のところ大きなメリットがあるというほどではないかもしれませんが、メインで利用されている銀行口座が万が一急に閉鎖された場合や、取引先もAirwalexを利用されている場合は決済が非常にスムーズになる等のメリットもあるため、予備の口座として開設しておくというのはありかと思います(弊社自身もその意図で開設しました)。
口座開設の必要書類について
口座開設の審査には、通常の銀行口座開設と同様に、取締役会決議書(Board Resolution)や登記書類の提出が求められます。 これらについては、会社秘書役(ラブアン法人の場合は契約しているラブアン信託会社)へ依頼すれば少し費用はかかりますが準備してもらうことができます。
お問い合わせ・開設方法
もしAirwallexの導入にご興味があり、ジャパンデスクの日本人担当者との面談や紹介をご希望される方は、ブログのお問い合わせフォームより私(熊木)までご連絡ください。 お繋ぎさせていただきます。
あるいは、早速オンラインで手続きを進めたいという方は、下記のURLから直接開設申請を行っていただくことも可能です。
それではまた。
2026年2月12日
熊木 雄介 (司法書士)

