======================
自筆証書遺言について語ってきましたが、、、
======================
さて、これまで散々自筆証書遺言について語ってきましたが、
それはあくまでも
「マレーシア(海外)に住んでいる人がとりあえず今すぐに日本の遺言を作成する方法として、
自筆証書遺言というものがありますよ!」
ということであって、
「自筆証書遺言をつくっておけば絶対安心!」
という話しではありません。
比較的簡単に作成できる自筆証書遺言には、
公正証書遺言と比べた場合にやはりデメリットがあります。
==============
その遺言は無効だ!
と言われやすかったり、、、
==============
公正証書遺言が公証人のほか証人二人が関与して作成されるものであるのに比べ、
自筆証書遺言は遺言者一人でも作成できるものです。
ですので、
たとえば、「次男甲野二郎に全ての遺産を相続させる」という自筆証書遺言がでてきた場合、
長男やその他の兄弟から
「その遺言は、二郎が父に無理矢理かかせたものだ!」
とか
「その遺言を書いていた時期には既に父はぼけていたので、その遺言は無効だ!」
とか言われかねないわけです。
正確にいうと公正証書遺言の場合もそう言われる可能性はあるのですが、
それでもその公正証書遺言は、公証人や証人が立ち会ったうえで作成されたものですので、
そう言われたとしても、本人の意思のもとに作成されたということが認められやすいという点で異なります。
===================
遺言の記載方法にミスがあったり、、、
===================
もうひとつ自筆証書遺言の怖いところとして、
自筆証書遺言は、公証人の関与のなく自分ひとりで作成したものでも有効となりますが、
それは、法律の専門家のチェックがされないということでもありますので、
自分ではしっかり書けたつもりであっても、
要式に不備があって無効になってしまったり、
書き方が曖昧であったために誰に相続(または遺贈)させたいのかはっきりしなかったり、
ということがありえます。
最近では遺言書作成に関する書籍なんかも結構出回っていまして(未確認ですが、KLCCの紀伊国屋にもあるんじゃないでしょうか)、
それを見ながら書けば、とりあえず書けたような気にはなります。
しかし、私の司法書士としての経験からすると、
本当に遺言者の真意を遺言に残そうとするなら、なかなか書籍の雛形とおりにはいかないものです。
そして書籍の雛形をいろいろといじっているうちに、
素人には気がつかないミスというものも出てくるものなのです。
====================
ということで、
できる限り公正証書遺言をつくりましょう
====================
このようなことから、
私としては自筆証書遺言のみで絶対安心!
とはとても言えません。
「とりあえずマレーシアにいる間に日本の財産の分配について遺言を残しておきたい」
ということであれば、自筆証書遺言という方法もありますよ、とご提案します。
しかし、
「できれば次に日本に帰ったときにでも、
その遺言を公正証書遺言のかたちで作り直されてはどうですか?」
と付け加えます。
「えっ!? 遺言って二回書いてもいいの!?」
って思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、
遺言は何度でも書き直すことができます。
極端な話し、
今日「長男に全部相続させる」という遺言をつくったとしても、
明日「次男に全部相続させる」という遺言をつくることも可能なのです。
=========
今回はここまで!
=========
マレーシアで活動をはじめて2ヶ月。
ビジネス的には順調とはとても言えませんが、毎日新しい刺激があり、
とても充実した日々を送っています。
今こうして活動できるのも、神戸事務所のスタッフ、お客様、提携先事務所の皆さまのおかげ。
一日一日を大切に、脇目をふらず、頑張っていこうと思います。
司法書士 熊木雄介
Mail: info@office-kumaki.name
ご相談料やサービス内容はこちら ▷ ウェブサイトへ