日本で書いてきた遺言を、海外で撤回する方法。

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Photo credit: Amir Kuckovic / Foter / CC BY-NC-SA

 

「マレーシアへ移住してくる前に公正証書遺言を残してきたけど、

ちょっと事情が変わったのですぐに書き直したい!」

 

そんなことをお考えの人もいらっしゃるかと思います。

 

書き直したい理由としては、

・長男に相続させるといっていた不動産を売ることになった

とか

・次男に相続させるつもりだった預金をつかって、マレーシアで不動産を買った

とか

・一部をお寺へ遺贈するつもりだったけど気が変わって長男に相続することにした

とかまあそんなところでしょうか。

 

そもそも「遺言というのは撤回できるのか」という基本的なところからお話ししますと、

遺言は何時でも、その遺言の全部又は一部を取り消すことができます。

 

手続きは複雑ではありません。

普通に再度遺言を作成すればいいのです。

遺言書の撤回に関して裁判所の許可をとったりする必要はないですし、

もともと「長男に相続させる」としていたものを変更する場合に長男の許可をもらったりする必要もありません。

初めて遺言をつくったときとほぼ同様の手続きで可能です。

 

※関係条文はこちら。

民法1022条
遺言者は、何時でも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を取り消すことができる。

民法1023条
1 前の遺言と後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を取り消したものとみなす。
2 前項の規定は、遺言と遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合にこれを準用する。

 

ただ、ご本人が海外に居住しているとなると考えることが少し多くなります。

「遺言を書き直したい!」と思い立ったとしてもすぐ近くに公証役場がないからです。

以前の記事でご紹介したように、領事に公正証書遺言をつくってもらうことはできますが、

同記事で述べたようなデメリットがあります。

 

基本的には、次に日本へ戻るときに公正証書遺言を作成しなおせばよいのでしょうけれども、

人によっては、

「次に帰って作り直すまでに万が一のことがあったらどうしよう、、、」

とご心配になる方もいらっしゃるかもしれません。

思い立ったことはとりあえずすぐに形にしておきたいという人もいるかもしれません。

 

そんな方にたいしては、

私が以前からブログで書いてきました「自筆証書遺言」を検討されてはどうでしょうか

とご提案いたします。

 

自筆証書遺言であれば、今すぐにマレーシアにいながらにして作成することができます。

公正証書遺言をつくったときのように「証人」に立ち会ってもらう必要もありません。

ただ、以前に述べたようなデメリットが自筆証書遺言にはありますので(その遺言が本当に本人の意思によって書かれたものであるかどうかを争われる可能性が公正証書遺言に比べると高い等)、

とりあえず自筆証書遺言を作成しつつも、

つぎに日本に帰ったときにはそれを公正証書遺言でつくりなおすということをお勧めします。

 

あと、いつも書いていることですが、

日本の遺言があるからといって、マレーシア国内の資産(預金や不動産など)をその遺言どおりに相続手続きできるかどうかは別問題です。

マレーシアの資産については、現地で別途遺言を残す等の手当をすることをお勧めいたします(ただ、その際も日本の税法を考慮しながら作成することが必要かと思います。平成25年に発表された相続税の改正によって、以前よりも多くの方が相続税の対象となりますので。前回の記事で書きましたとおり、マレーシア国内の資産も日本の相続税の課税対象とされる方がほとんどかと思います)。

 

熊木雄介
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