マレーシア企業買収の際の注意事項 -人・物・意思の確認-

まもなくクロージング予定の企業買収案件がありまして、先月から今月前半にかけてバタバタとしておりました。先週山をひとつ超えましてようやく少し落ち着きましたので、ブログを書いておこうとおもいます。

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企業買収の場面で一般の方々(=法務専門家以外の方々)が軽視しがちなことのひとつとして、「誰が契約の相手方となるか」という点があります。

相手の会社の全ての株式を買収して完全子会社化しようとされているのであれば、話し合うべき相手は、基本的には、相手方企業の株主です。各株主が保有している株式をそれぞれ買うわけですから。

にもかかわらず、各株主と交渉をせず、相手方企業の取締役会の代表者とのみ交渉をされ、そしてその代表者が合意したから企業買収が成立したと判断されている事例を散見します。

もちろんその代表者が相手方企業の全ての株式を保有しているならよいのですが、マレーシアの会社法上、最低二名の株主が必要なわけですから(法人が株主の場合のみ例外的に一名でOK)、その相手方代表者個人が単独株主であることはなく、つまりその代表者と合意に達したとしても、他の株主の同意が得られない限りは、基本的には100%子会社にすることはできません。

代表者のみと合意をした時点で前金などを払ってしまっている場合は悲惨です。実際に株主を変更する手続きをしようとしたときに初めてすべての株主の合意と署名が必要であるということが発覚し、そして協力が得られなかった場合には手続きが進まないわけですから・・・。そもそも各株主が保有する株式の売買代金もその代表者が決めるわけではなく、各株主が自分の株式をいくらで売却するかということを判断し、交渉する権利があります。

他方で、相手方企業を子会社化したいのではなく、単に相手の事業やそれに付随する資産を買い取りたい場合、交渉すべき相手方は、株主ではなく、経営陣(代表者含む取締役会)でOKです(なお、最終的には相手方企業の内部手続きとして株主総会の同意は必要かと思います)。

企業買収の場面に限らず契約を締結される際には、人・物・意思の確認(誰から、何を買うか。そして、その相手方から直接同意が取れているか。)を常に意識するようにしてください。

あと最後に、相手方企業の株主を特定する際、マレーシア会社登録委員会からCorporate Informationを取得して確認したとしましても、そこに記載されている情報が必ずしも現時点での相手方企業の株主ではないこともありますのでご注意ください。

2015年9月14日

司法書士 熊木 雄介
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