【マレーシア法人】「居住取締役」要件とその名義貸しサービスとその注意事項など。

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クアラルンプール中心地 にある繁華街 Bukit Bintang のショッピングモール fahrenheit

こんにちは。

KSG Holdings Ltd.の司法書士 熊木です。

イスラムのイベントである1ヶ月の断食シーズンが終わり、

マレーシアの60%以上を締めるマレー系マレーシア人が断食明け休暇に入りました。

断食シーズンよりも、むしろこの断食明けシーズンのほうがマレーシア全体の仕事の進みが遅くなります。

我が家は今月末に引っ越し(クアラルンプール内)を予定しているのですが

引越し業者等の関係各所とのスケジュール調整がなかなかおもうように進みません・・・

(我が家は5人家族ですので引っ越しもなかなか大変です。)。

 

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さて今日は、ラブアン法人ではなく、普通のマレーシア法人の「居住取締役」について。

 

ラブアン法人と違い、

普通のマレーシア法人を設立する場合には、

「マレーシアを生活の本拠とする取締役」(以下、「居住取締役」)が最低1名必要とされています。

 

この居住取締役は、

マレーシア人に限らず、生活の本拠がマレーシアにありさえすれば、日本人でもOKです。

 

さらに言えば、

これは私自身の立場上は積極的に発信すべき情報ではないのですが、

会社法上は「マレーシアに生活の本拠がある」と規定されているにもかかわらず、

会社登記手続き上は、

マレーシア国内の住所を提出できる外国人であれば、

実際には「マレーシアに生活の本拠がある」とまでは言えなくても、

今のところ、その者を「居住取締役」として、株主兼取締役がその外国人1名のマレーシア法人の設立もできています。

( 登記所は、その外国人がマレーシア国内のビザを保有しているかどうか等を今のところ確認しないため。 )

 

言い換えれば、

良い悪いは別にして、日本に住んでいる日本人がマレーシア国内にコンドミニアムを借りる等すれば、

その一名のみでマレーシア法人の設立は、実務上は、できている状況ですし、

私の印象では、そのような法人はわりと多く存在します。

 

ただ、

このようなかたちを取れるとしても、

人によっては、

「マレーシアにコンドミニアムを借りるのはそれなりにコストがかかるし、手間も時間もかかる。

できる限り早く法人設立を進めたいので、他の方法はないか」

とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。

 

そのような方には、

マレーシアでは、司法書士事務所(=Company Secretaryの会社)や会計事務所が

「居住取締役の名義貸し」サービスを行っています。

( マレーシア人株主としての名義貸しサービスもあります。)

 

その名の通り、

マレーシアに居住するマレーシア人の名前を、御社マレーシア法人の取締役として貸してくれるサービスです。

 

一般的には、

その司法書士事務所や会計事務所の資格者やスタッフの名前が貸し出されることとなります。

 

料金は各事務所により大きく異なりますが、

私が提携している事務所の料金体系に関して言えば、

コンドミニアムを借りていただくよりも大幅に安い月額料金です。

( 取締役として名前を課す側にも大きなリスク、

たとえば、会社が法定の届け出をしなかった場合のペナルティが会社だけでなく取締役個人にも連帯して生じる、

等がありますので、

名義貸しサービスは有料制なのです。 )

 

この名義貸しサービスの利用に関して、

はじめて海外に進出される企業様等は、

「その名義貸し人を信頼してよいのか? 会社にリスクはないか?」

と心配なさるかもしれませんが、

一般的には、司法書士事務所や会計事務所から名義を借りる場合には

リスクはほとんどないとお考えいただいて良いかと思います。

 

上記のとおり、むしろ貸す側の方がリスクを感じていますし、

彼らとしては、そのようなことで不祥事を発生させて資格を失ったり、評判を落としたりするよりも、

本業で長く着実に利益を上げる方がメリットがあるからです。

 

また、

法人の銀行口座を開設する際に、サイナーをきちんと日本人取締役自身のお名前にしておけば

この名義貸し取締役は口座にタッチすることはできませんし、

取締役としての名義は借りるとしても、

マレーシア法人の株式を100%御社側で保有していれば会社の根本的なルールは会社が規定できますし、

取締役会の過半数を御社側で占めていれば、取締役会も支配することができます。

 

それでも心配でしたら、

法律事務所に依頼して、居住取締役の権利を制限するような内容の契約書を交わすことも可能です。

 

私の経験からくる感覚では、

司法書士事務所や会計事務所から名前を借りる場合よりも、

むしろ、

「知人のマレーシア人」や「マレーシアに住む日本人」から名前を借りる場合の方が、

トラブルが生じやすく、

その場合こそ、上記のように注意を要するかと思います。

 

法人設立当初は、「単に名義を借りるだけ」という約束であったとしても、

会社が利益を出してきたり、

名義貸し人と御社側の仲がぎくしゃくしてきたりすると、

急にこの名義貸し人が発言をしてきたりするものなのです・・・。

 

以上!

それではまた。

2017年6月23日

司法書士 熊木 雄介
Email: info@office-kumaki.name

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