ラブアン法人、法人税の上限「2万リンギット(=60万円)」が撤廃の方向で進められております。

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こんにちは。
KSG Holdings Ltd.の司法書士 熊木です。

今日は非常に残念なお知らせになってしまいます。

現在、マレーシアは、新政権による抜本的な行政改革、
そして2019年の予算案とそれに合わせた税制の改革が行われているところなのですが、先日行われた財務省大臣のスピーチやその後の情報によりますと、
2019年の財政案の中で、マレーシアの財政改善・税制改革の一貫として、
なんと、ラブアンの法人税の「定額2万リンギット」を撤廃する方向で進められており、
すでに議会の決議も通り、あとは官報に公告されれば、正式に法律として効力を有することとなるようです。

「2万リンギ」の選択肢が廃止された場合、
法人税としては、もう一つの選択肢であった「利益の3%」のみが適用される、ということになってしまうことになります。

3%は依然として低い税率で魅力的ではあるのですが、
2万リンギを選択する場合の特典であった「外部Auditorによる会計監査の免除」もなくなってしまいますので、
「利益の3%」を納税する前に、かならず、外部Auditorによる会計監査を受けなければならず、
決算の際の手間が増えてしまう点が悩ましい点です。

また、「2万リンギ撤廃」以外にも、ラブアンの委員会の協議により改正が加えられる可能性があり、
注視が必要な状況となっております。
(ラブアン法人の活動に関して実体があるかどうか(=ペーパーカンバニーでないか)というようなことが、これまで以上に求められる、という方向性での改正があるようです)

対して、Investment Holdingのみを行うラブアン法人は
もともと「利益の3%」や「定額2万リンギ」は適用されず非課税でしたが、
この点については、今のところ特に言及はありませんので、維持される様子です。

ただし、Intellectual Property(知的財産権)の保有からの所得については、ラブアンの税制ではなく、通常のマレーシアの税制が適用される、と言われておりますので、
Investment Holdingであっても、活動内容次第では注意が必要です。

なお、
今回の改正の中で、
「2万リンギを撤廃するけれど、ラブアンを魅力的なミッドショアのビジネスセンターとするため、ラブアン法人が、マレーシア居住者と取引をすることや、リンギットでの取引を認める」
という改正が実施されることとなっております。

この点、居住者と取引をした場合に適用される税制などについて、まだ詳細が明らかにされていませんので、正確なことはわかりませんが、
たとえば、マレーシア国外から仕入れたものをマレーシア国内に販売する、というようなことが、これまではラブアン法人のビジネス外と認定されていたのですが、
今後はそのようなビジネスもラブアン法人のビジネスとして認められ、
そのビジネスで生じた利益も、3%の対象になる、
ということなのかもしれません。

ただし、今回の改正の中で、別の項目として、
マレーシア居住者(=マレーシア法人も含む)がラブアン法人に支払った金額のうち3%のみをマレーシア居住者側では経費とすることを認め、
97%は損金処理できない
ということになっていますので、
たとえばマレーシア国内の企業がラブアン法人から仕入れをした場合、
仕入れをしたマレーシア法人側ではその支払った金額の97%が損金処理できないということとなりますので、
あまり活用場面がイメージしにくい新制度であるように思います。

なお、マレーシア居住者とリンギットで取引ができるようにはなる流れではありますものの、
あくまでも、ラブアン法人はラブアン島内のみを拠点にしてビジネスができるという点はかわりませんので、
たとえば、ラブアン法人名義でクアラルンプールに店舗を構えてレストランビジネスや小売店ビジネスができるということではありません。

、、、いずれにしても、
上記の改正案が発表されてからまだあまり日もたっておらず、
ラブアンの現地専門家であるラブアン信託会社や会計事務所にも確かな情報が届いていないような状況ですので
私も正確なことはわかりませんが、
また情報が入りましたら、できる限りブログにてシェアさせていただきますし、
改正が確定しましたら、ラブアン信託会社からメールにて案内があるかと思いますので、そちらを十分にご確認くださいませ。

なお、上記の改正が公告されたとしても、その新法律の施行日は早くても2019年1月1日になるかと思いますので、
今期(2018年1月1日から2018年12月31日)の決算については、まだ「2万リンギ」を使用できるのではないかと思っております。

ただ、その翌年以降は、私としてもクライアントさんの会計監査のサポートなどでさらに忙しくなってしまいますので、
新規案件の受任がなおさら難しくなるかもしれません、、、、。

それではまた。

2018年11月19日

司法書士 熊木 雄介
Email: info@office-kumaki.name

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