こんにちは。
KSG Holdings Ltd.の司法書士 熊木です。
今回は仕事兼趣味でやっているマレーシア株投資のお話しです。
2017年の秋頃からマレーシア株への投資を始めましたので、いつの間にかすでに7年目になりました。
あくまでも本業の片手間にやっていますので、できれば市場全体に投資するような投資信託やETFを利用したかったのですが、マレーシアにも投資信託やETFはあるものの、流動性が異常に低く信託報酬も割高でしたので、マレーシア株に関しては自分で個別株に分散投資しています。
キャピタルゲインを目指すというよりも、マレーシア株特有の高い配当利回り(5~7%)でインカムゲインを得ることをメインとする方向性です。
注意している点として、マレーシア市場のような小さな市場は、いったん下落相場に入るとその後何年も上昇してこないリスクがオルカンやS&P500への積み立て投資等と比べて高いと思いますので、何も考えずにドルコスト平均法で全体を買い続ける「Just Keep Buying」手法はやっていません。
企業の決算や年次報告もチェックしながら、上がった銘柄があれば少し売り、その資金を使って下がって配当利回りが上がった株を買い足す、ということを繰り返しています。本業の片手間でやるには結構疲れる投資です。
実際、マレーシア市場は2015年あたりまで大きく上昇した以降は、2023年中盤あたりまでは長いことレンジ相場、というよりもやや下げ相場のような状況でしたので、私が参入した2017年からしばらくは苦しい時期が続き、下がれば少し買い、上がれば少し売るというようなことをしながら、配当を受け取りながら仕込みをする時期になりました。
なかなか苦しい相場でしたが、マレーシア企業は年4回配当の会社が多いため、定期的に年利4~6%で配当を得ることができ、それのおかげでモチベーションを維持しやすい点はマレーシア株投資の魅力だと思います。配当やキャピタルゲインが非課税という点も大きいです(ただし、2025年度以降は年間10万リンギを超す配当収入は2%課税)。
仕込みの時期が長かったですが、「株の利益は我慢料」という言葉の通り、2023年後半から2024年前半にかけてようやく上昇相場に入ったことで無事に収穫できまして、「配当+キャピタルゲイン」でそれなりに良い結果にはなっています。
ただ、2024年後半以降は外国人投資家がとてつもなく資金を引き上げた影響などでまた軟調になっており、再び仕込みの時期に入っています。
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効率が良いとは言いにくいマレーシア株投資ではありますが、マレーシアを拠点にビジネスをされている方であれば、ポートフォリオの一部でトライされるのは有りかもしれません。結構勉強になります。
とはいえ、配当利回りが大きいことに目がくらんでポートフォリオの大半をマレーシア株にするようなことは、一般的に言えばやめておいたほうが良いということになると思います。
私の場合は、仕事がマレーシアへ進出する企業のサポートという仕事をしていますので、株投資はマレーシアを理解するためという側面もあるためにわりと積極的に行っており、自分のポートフォリオの10%以上がマレーシア株になってしまっていますが、一般的には、ポートフォリアのコアの部分は全世界株やS&P500等をメインで積み立てつつ、マレーシア株はスパイス程度にポートフォリオの数%以下、せいぜい多くても5%前後で趣味や勉強も兼ねて行うというのが正解かもしれません。
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マレーシア株に少し興味が湧いている人もいるかと思いますので、ご参考として、私のポートフォリオの中から3つほどピックアップしてご紹介しようと思います。
わりと成績がよかった企業をご紹介していますので、これを読んでマレーシア株に大きく投資しようと思ってしまう人がいるかもしれませんが、逆に大きく下げた企業もありますのでご注意ください(AirasiaやGentingなど)。
また、下記の株式や投資信託をお勧めする意図は一切ありません。投資を検討される場合、ご自身においてしっかりと調査をしていただき、自己責任でお願いいたします。万が一、下記の株式等に投資をしたことで損失が発生したとしても一切責任は負えませんのでご留意ください。
1)Sunway – https://www.sunway.com.my/investor-relations/
マレーシアを代表するコングロマリット。不動産開発・販売、病院経営、レジャー施設、製造業、不動産投資信託(リート)等々様々な事業を展開しています。
我々日本人が多く住むMont Kiaraの中心にある163 Retail MallもSunwayが買収し、現在は、Sunway参加にあるSunReitというリートに組み入れられています。
私が株を購入してから運良く4倍以上になりました。
株価だけが期待先行で上昇したわけではなく、本業の収益を示す営業利益(Operating Income)も、しっかりと伸びています。
2023年の後半あたりから急激な株価上昇が始まり、最近もまだ伸びています。業績も堅調に伸びているので手放すのが惜しいのですが、売上の大半が建設業、不動産開発という景気敏感業種ですので、2024年の中頃あたりから少しずつ売っています。
なお、上記のような財務諸表のデータ、売上構成などはSunwayのInvestor Relations(IR)のページで年次報告書(Annual ReportやQuartely Report)を見れば確認することができます。

気になる企業があれば、「企業名 + investor relations」で検索していただければヒットするかと思いますので試してみてください。企業の年次報告を読むことは、投資だけでなく、マレーシアを知る勉強にもなるのでお勧めです。
企業のウェブサイトを直接見る方法のほか、証券会社のアプリなどでも年次報告や決算発表の内容をわかりやすくまとめてくれています。Moomoo証券マレーシアなどがわかりやすいと思います。
2)IGBREIT – https://www.igbreit.com/
マレーシア随一の人気モールであるMid Valley Megamall、そしてその隣に併設しているGarden Mallを保有する不動産上場投資信託(ETF)です。いわゆるリート(REIT)です。
リートは、家賃等の収入の90%以上を投資家に分配することを条件として法人税が免除される仕組みになっている国が多いと思いますが、マレーシアも同様です。このインセンティブがあるおかげで、一般的な株式会社に比べると、配当利回りが高めのものが多いです(裏返すと、将来的の成長に向けた投資を犠牲にして配当していることになるので、株式会社の株式への投資に比べると将来の成長期待が低めというデメリットがある点は理解しておく必要ありです)。
このリートの過去の値動きは以下のような感じです。
コロナの時期(2020年から数年)、マレーシアは外出禁止でしたので流石に大きな影響を受けて下げていますが、私が積み立てを開始した2017年の価格から見れば1.4倍程度にはなっており、かつ、コロナ期間中に積み立てた分についてはそれ以上にキャピタルゲインが発生しています。加えて、毎年5~7%の分配金を受け取ってきましたので悪くない投資でした。
テナント占有率についても、コロナ期間を除けば常に99%前後の印象ですし、実際にクライアントから「Mid Valleyにテナントを出すのは競争率が高くて難しい」という話をよく聞きますので、安心感有りです。実際、Midvalleyはいつ行っても賑わっています。
下記リンクから2024年度の第4期の報告書をご覧いただけます。
https://www.igbreit.com/pdf/IGBReit_4Q24_Final.pdf
占有率はMid Valley Megamallが99.97%、The Gardens Mallが99.95%となっています。
家賃単価も年々上げることができている様子が伺えます(コロナ中に下がっていた反動もあるとは思いますが)。
あと、リートに投資する場合は、やはり借り入れローン金利の今後の上昇に対する耐性が気になるところですので、借り入れのうち固定金利と変動金利の割合を定期的に確認するようにしています。
この点、最新の四半期レポートには記載が見つかりませんでしたが、2023年度の年次レポート(下記スクショ)にはFixed coupon rateと書かれておりますので、少なくとも2023年末時点で抱えていた中長期ローンについては、たとえ今急に銀行がローン金利を引き上げたとしてもすぐに収益に大きな影響を与えるものではなさそうに見えます(あくまでも片手間でやっているものですのでそれほど深くチェックしているわけではないですので、もしこのリートへ投資を検討される方はくれぐれもご自身でしっかりとチェックしてください)。
かなり気に入っているリートではあるのですが、商業施設系のリートも景気に敏感な業種ですので、住居系リートなどに比べると値動きや分配金の上下動は大きいですから、少し注意しながら中長期保有というスタンスです。
不動産上場投資信託は、このIGB Reitの他にも、
- Bukit BintangのPavillionモールなどを保有するPavilion Reit ( https://www.pavilion-reit.com/ )
- リッツ・カールトンやマリオットやマジェスティックホテルなどを保有するYTL Hospitality Reit ( https://www.ytlhospitalityreit.com/ )
- ツインタワーに併設するSuria KLCCを保有するKLCC Reit ( https://www.klcc.com.my/portfolio-klcc-reit.html )
など、色々あります。
投資対象としてチェックされるのも良いですし、マレーシアで起業を検討されている方はリートの年次報告書は一般事業会社の年次報告書に比べるとカラフルで読みやすいものが多いですので、マレーシアの不動産業界や小売業界などを勉強する材料としてもお勧めです。四半期ごとのレポートよりも、年次報告書が特に詳細で勉強になります。
3)ITMAX System Berhad – https://www.itmax.com.my/
もうひとつは、知っている日本人の方が少なそうな銘柄をご紹介します。
マレーシアで公共空間のネットワーク・システムの供給、設置、提供、照明システム、交通管理システム、ビデオ監視、通信ネットワーク、関連する人工知能のネットワーク・ソリューションの開発、供給、設置などを行っているIT企業です。
時価総額は、この記事の執筆時点(2025年3月)で39億2000万リンギット(約1320億円)ほどで、マレーシア市場の中では80~90位あたりに位置しています。
会社の設立は2001年ですが、上場して株式公開をしたのは2022年12月ですので、上述のSunwayやIGBReitと違い、チャートがまだこの2年分ほどしかありません。
私がこの会社の株を書い始めたのは2024年の前半からです。その時点ですでに上がり始めている雰囲気はあったのですが、そこからさらにジョホール州からの大型受注なども含めて着実に売上・利益を伸ばし、株価は私が参入した1年前の時点からでも70%近く上昇しました。
この銘柄は配当利回りは低いので、私が保有しているマレーシア株の中ではめずらしくキャピタルゲイン狙いで保有している銘柄です。
PERが50を超えるほどに株価が上昇し、今年に入ってから少し勢いが落ちてきたのでそろそろ利確を検討したのですが、3月の決算発表前に再び大きく上がり、利確タイミングを悩ましく感じています。
Sunway株のように一部を利確をして様子をみるというのが正解な気はしていますが、営業利益の伸びこそ少し鈍化しているものの、売上自体は勢いよく伸びていますのでまだしばらく粘るかもしれません。
この会社独自の強みや参入障壁があるかどうか等を一度しっかりと調べて見て、良いものが見つかれば、売らずに長期保有の方向性で考えます。本業が忙しくてなかなか調べる時間がありません。
株主名簿を見ると、年金や大手ファンド会社ではなく、Sena Holdings Sdn Bhdという非公開会社が過半数を持っています。
このSena社のウェブサイト( https://www.senaholdings.com.my/about/ )によれば、このITMAX社の創業者であり、マレーシアの称号 Tan Sri Dato を持つTan Boon Hockさんという方が設立した資産保有会社のようです。
このTanさんは、ITMAX社を設立して上場させただけでなく、 Optimax Holdings Bhd( https://optimax.listedcompany.com/ )という有名な眼科の会社も上場されたようで、多角的にビジネスを展開されています。
単に優秀なビジネスマンなだけでなく、自身が電気工学に関する博士号を持っているバックグラウンドも投資先としてとても好印象です。
12月締めの会社ですので、すでに2024年12月31日期の監査前の財務諸表は発表されています。年次報告書(Annual Report)はまだですが、まもなく発表されるかと思いますので注目です。
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他にもご紹介したい銘柄がいくつかありますのでまた時間を見つけて記事にしようと思います。
ただ、冒頭にも書きました通り、ご紹介した株式や投資信託をお勧めする意図は一切ありません。投資を検討される場合、ご自身においてしっかりと調査をしていただき、自己責任でお願いいたします。万が一、下記の株式等に投資をしたことで損失が発生したとしても一切責任は負えませんのでご留意ください。
2025年3月21日
司法書士 熊木 雄介
Email: info@office-kumaki.name
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