
皆さま、こんにちは。
KSG Holdings Ltd.の司法書士 熊木です。
本業の傍ら、自分なりの資産運用について考えるのが長年の趣味でして、このブログでも2017年頃からマレーシアの株式投資や「pitchIn」「Funding Societies」といった現地の興味深い投資プラットフォーム、さらには暗号資産や金(ゴールド)投資など、折に触れて様々なテーマで記事を投稿してきました。
さて、昨今は世界的なインフレが大きなテーマですが、これにより「貯蓄から投資へ」という流れは、以前にも増して重要になっています。例えば、私が住むマレーシアの定期預金金利は現在3%前後ですが、近年のインフレ率を考慮すると、お金は実質ほとんど増えていません。日本でもようやく金利がつき始めましたが、それを上回るインフレ率の前では、預金だけでは資産が目減りしていく状況が続いています。
そこで重要になるのが、現金をインフレ率以上に価値が上がることが期待できる株式などの資産に換えて運用することです。この点、運の要素が大きくなる個別株投資ではなく、市場全体に分散投資するETFや投資信託を主軸に据えるべき、という考え方は、2024年に始まった新NISAの影響もあり、多くの方の共通認識となったのではないでしょうか。
理論上、多くの人にとって「手持ちの資金を、できるだけ早く、できるだけ多く、全世界(またはS&P500)の株式に分散された投資信託やETFなどに投じる」ことが、長期リターンを最大化する確率が最も高い戦略だと私も思います。
しかし、ここには一つ、見過ごせない現実があります。それは「理論上の正解を、誰もが実行できるわけではない」という点です。リーマンショックやコロナショック級の暴落で資産が半減したとき、冷静でいられるでしょうか。全世界分散といっても、現代は世界経済が連動しているため、米国株の暴落が世界同時株安を引き起こすことも珍しくありません。「長期で見れば回復する」と頭で分かっていても、心が耐えきれずに狼狽売りしてしまう。私自身、その気持ちが痛いほどよく分かります。
だからこそ私は、理論的なリターンの最大値を目指すよりも、期待リターンを多少犠牲にしてでも、心の平穏を保ちながら長期間投資を「継続できる」ポートフォリオを組む方が、最終的には良い結果に繋がるのではないかと考えています。期待リターンが下がる分は、いわば「心の平穏保険料」というわけです。
そこで今回は、様々な経済状況に対応できる「全天候型アセットアロケーション」について、私自身の考えを整理する目的も兼ねて、現時点での研究内容をシェアしてみたいと思います。私は金融のプロではありませんので、あくまで一個人の研究記録として、こんな考え方もあるのか、という視点で読み進めていただけると幸いです。
私が考えるポートフォリオは、大きく「コア資産」と「サテライト資産」に分かれます。ただし、各資産の保有割合に絶対的な正解はありません。投資家が「どの程度の下落まで精神的に耐えられるか」によって最適な比率は全く異なり、そしてそのリスク耐性は、平時に自分が思うより遥かに低い、という点には注意が必要です。
ポートフォリオの全体像
- コア資産: どんな経済状況であろうと、一定の保有割合を維持しながら長期で保有し続ける、ポートフォリオの「核」となる資産です。定期的にリバランスを行い、当初決めた比率を保つことを目指します。
- サテライト資産: 今後住む場所が変わったり、経済状況に対する考え方が変わったりした際に、売買する可能性のある、より柔軟な位置づけの資産です。
【コア資産】
- オルカンETF (全世界株式)
- 全世界高配当株ETF
- 米国債ETF(長期)
- 米国債・米国社債混合ETF(中期)
- ゴールドETF
- 暗号資産:ビットコイン
- 現金
- 現物資産(ゴールド、不動産など)
【サテライト資産】
- マレーシア株
- 日本の高配当株ETF
- 日本のREITや不動産ETF
- 日本の銀行ETF
- 推しの個別株
- 個別株の短期・中期トレード
なぜこの資産を持つのか?「コア資産」の詳細
株式:オルカンETF + 全世界高配当株ETF
- 全世界株式インデックス(オルカン):
アメリカ籍ETFならVT、アイルランド籍ならVWRA.LやVWRD.Lがこれにあたります。これはコア資産の「主役」です。世界中の株式を、『多くの投資家が高い価値を認めている企業ほど、多くの割合を保有する』という時価総額加重のシンプルなルールで、まとめて保有できるのが最大の魅力です。 よく「オルカンも6割が米国株なのでS&P500と変わらない。S&P500が暴落すればオルカンも同じく暴落する」という意見を耳にします。確かにその通りで、短期的な暴落を避けることはできません。しかし、例えばドットコムバブル崩壊後の2000年代のように米国株が長期で低迷した際、投資マネーは他の地域に流れます。オルカンであれば、その他の地域の成長がリターンを牽引してくれることが期待できます。私が目指す「心の平穏をできる限り保てるポートフォリオ」という観点や長期投資の観点からは、この自動調整機能が非常に合っていると考えています。
- 全世界高配当株ETF:
アメリカ籍ならVYMなどとVYMIの組み合わせ、アイルランド籍ならVHYD.Lなどがこれにあたります。オルカンは素晴らしいのですが、GAFAMに代表されるハイテク・グロース株、そして米国ドルに比重が偏りがちです。そこで、全世界の高配当株ETFを組み合わせることで、バリュー株への分散を図っています。また、この種のETFは米国株の比率が40%程度に抑えられているものも多く、通貨の分散にも繋がります。将来、ハイテク株の成長が鈍化し、割安なバリュー株に資金が流れる局面でのリスクヘッジとしても機能してくれることを期待しています。- (余談ですが、本当は生活必需品セクター(XLPなど)のようなディフェンシブ銘柄のETFも組み入れたいのですが、マレーシア居住の私の場合、米国籍ETFは配当に対して30%の源泉税が課せられてしまいます。15%の源泉税で済むアイルランド籍ETFを探したのですが良いものが見当たらず、現在は見送っています。)
債券:長期米国債ETF + 米国債・社債混合ETF
- 長期米国債ETF:
アメリカ籍ならTLTなど、アイルランド籍ならIDTL.Lなどがこれにあたります。残存期間が20年以上の米国債で構成されるETFです。これは主に「不況」が原因で株価が下落する局面でのリスクヘッジです。不況時には、安全資産とされる米国債に資金が流れ込み、価格が上昇しやすくなります。また、景気対策として金利が引き下げられると、特に期間の長い長期債の価格は大きく上昇するため、キャピタルゲインも狙えます。ただし、逆にインフレが収まらず金利が上昇する局面では、債券価格は下落するため、キャピタルロスを被るリスクもあります。ここで、「なぜ全世界株式のように、債券は全世界に分散しないのか?」という疑問が浮かぶかもしれません。私の考えでは、このポートフォリオにおける債券の役割はあくまで株式暴落時のリスクヘッジだからです。つまり、リスクヘッジという観点から見ると、米国以外の債券は不況時に必ずしも避難先(安全資産)として投資マネーが集まってくるとは限らず、ヘッジとして中途半端になる可能性があります。国や企業によっては、不況で信認が大きく低下し、リスクヘッジどころか逆に価格が下落するリスクすら考えられます。米国の信頼性も絶対とは言えなくなってきていますが、現時点で米国債券に代わるヘッジ先も見当たりません。そのため、不況時のリスクヘッジという役割に絞れば、今のところは米国債がベターな選択だと考えています。
- 中期の米国債と米国社債の混合ETF:
アメリカ籍ならBNDなど、アイルランド籍ならIUAA.LやUSAG.Lなどがこれにあたります。
デュレーション(平均回収期間)が8年前後の、国債と社債を組み合わせたETFです。国債だけではリターンが低いので、信用リスクがある分リターンが高い(リスクプレミアム)社債を混ぜることで、少しでもリターンを上乗せする狙いです。
ただし、不況時には企業の信用リスクが高まり、社債の価格は下落する可能性があります。これが国債価格の上昇と相殺されてしまうこともあるため、長期米国債ETFとは少し役割が異なると考えています。
- 債券は「ETF」か「生債券」か?
「満期まで持てば元本が返ってくる」という安心感から生債券を好む方もいますが、私は手軽に売買できるETF派です。このインフレ時代に、低い金利の債券を満期まで持ち続ける可能性は低いと考えており、途中で売却するなら流動性の高いETFの方が便利だと判断しています。
- 米ドル建て預金でもよいのではないか?
わざわざ値動きリスクのある米国債ETFにしなくても、米ドル建ての定期預金でも、今なら4~5%の利息が付されます。私はこれも一部組み入れています。ただ、米国債ETFと違い、定期預金はその預けている銀行にお金を貸しているということを意味しますので、リーマンショックのような金融危機があった場合にその預け先の銀行が破綻しないかどうかが心配になります。この点、米国債として保有しておけば、米国自体にお金を貸していることになるわけですから、民間銀行にお金を預けていることと比べると暴落時でも安心感が違います。また、米国債であれば、不況時や金利引き下げ時などにキャピタルゲインが発生する可能性もある点も状況によってはメリットとなります。
ゴールドETFと現物不動産
- ゴールドETF:アメリカ籍ならGLDMなど、アイルランド籍ならIGLN.L
株や債券とはまた別の種類のリスクに備えるための保険です。特に、地政学リスクの高まりなど、予測不能な危機が起きた際に、株や債券が暴落する一方で、安全資産としてゴールドの価格が上昇することを期待しています。なお、利上げが起こった際、株式や債券の価格が下がるのと同様、理論的にはゴールドの価格も下がるはずですが、そのような状況のときに一時的に株や債券からゴールドに投資マネーが流れてゴールド価格があがるという場面もありました。この点も少し期待して債券とは別のリスクヘッジ資産として保有しています。ところで、近年、ゴールドのリターンがS&P500さえも上回る状況が続くこともありました。ゴールドの保有比率を増やしたくなる誘惑にかられますが、しかし、ゴールド自体は利益や利息を生む資産ではなく、超長期でみれば、やはり株式に軍配が上がると思っていますので、ゴールドはあくまでリスクヘッジのために保有するものとして位置づけ、短期のキャピタルゲインに目をくらませて保有割合を上げすぎないようにしています。ゴールドの保有も債券と同様、ETFをメインにしています。ETFを買うときにオルカンや高配当株ETFは配当に対する源泉税の軽減税率のメリットをとるためにアイルランド籍のETFを購入していますが、ゴールドのETFに関しては配当はないので米国籍ETFでもよいと思っています。米国籍ETFの方が流動性が高いので、株の暴落時にゴールドETFをさっと売却して株を仕込むということもしやすいです。ただ、すごく長い目でみると、米国籍ETFであれば米国の遺産税の対象になる可能性も今後の税改正などによってはあるため、その点では、アイルランド籍ETFと分散して持っておく方がよいかもしれないと少し考えています。
- 不動産について
不動産もキャピタルゲインとインカムゲインの両方が狙える魅力的な資産であり、現物であれば、株式のように日々の値動きが目に入らず、価格も安定しているところが魅力です。ただ、長期的なリターンでみれば全世界株式の方が安定して十分なリターンをもたらす期待値が高いと思っており、あえて手間やコストがかかる不動産に投資をする必要性がないと感じてしまいます。不動産は老朽化しますので、リフォームや建て替え、売却などのような出口的なことも考えないといけない点もデメリットです。オルカンであればそのまま子供たちに引き継ぐことができ、子供たちが資産運用の知識がなくてもほったらかしで長期的にはOKです。なお、これがもし私が日本在住であれば、世界的にみても低金利のローン(レバレッジ)を活用して投資対利回りをあげ、節税効果も享受しながら不動産投資を行うメリットは大きいと感じます。しかし、マレーシアに住んでいる私の場合、ローンや節税の面で日本ほどのメリットを感じにくく、今のところ積極的に個別不動産に投資する気にはなれません。現物不動産を入れることでリスクヘッジになることは理解できますが、他の資産クラスへの分散でリスクは十分に低減できていると考えており、物件探しや管理の手間や地震などのリスクが逆に増えることを考えると、REIT(不動産投資信託)や不動産企業の株式の保有で十分というのが現時点での結論です。ただ、日本の相続税対策まで考えた場合、不動産にしておいた方が有利な場面もありますので、将来どこに住むかなどにもよりますが、状況に応じて組み入れの検討は必要になるとは思っています。
暗号資産:ビットコイン
ポートフォリオに暗号資産を入れることには賛否両論あるかと思いますが、私はコア資産の一部としてビットコインを加えています。その理由は、法定通貨の価値がインフレで年々目減りしていくのに対し、発行上限が2,100万枚と決まっているビットコインは、デジタル・ゴールドとしての役割を担う可能性があると考えているからです。 株式や債券とは異なる値動きをすることで、資産全体のリスクを低減する効果を期待しています。また、ハイリスク・ハイリターンな資産としてのポテンシャル、インフレヘッジ、そしてブロックチェーンという技術が今後社会に浸透していく恩恵を受けられる可能性など、様々な魅力があると感じています。
現金
暴落が起こっても心の平穏が保てる程度の金額を現金として保有することも、重要なコア資産の一つです。それも一つの通貨ではなく、複数通貨への分散が大事ですね。私の場合、日本で働いていたときに得ていた日本円があり、マレーシアに来てからは米ドル、リンギットで収入を得ていますので、おのずとその3通貨に分散されています。
一般的に「生活費の2年分」などと言われますが、暴落時のストレス耐性は人によって大きく異なります。投資で資産を増やすことを焦って現金を減らしすぎると、暴落時に過剰反応して狼狽売りする羽目になり、かえって長期的なリターンを下げることにも繋がりかねません。「リスク耐性は、平時に自分が思うより遥かに低い」という点を意識して、自分にとって最適な現金比率を決めるのが大事だと思います。
その時々の状況や趣味を反映する「サテライト資産」
コア資産で全世界の成長からのリターンを得ながら守りを固めつつ、サテライト資産ではマレーシア居住者という立場や、日本円資産の確保、そして個人的な興味を反映させています。
- マレーシア株 マレーシアに住んでいる以上、生活費はマレーシアリンギットです。そのため、資産の一部をリンギット建てで運用しておきたいと考えています。かつては5%ほどの金利がついたリンギットの定期預金も、今や3%前後。インフレを考慮すると実質的には増えていません。そのため、手数料の安いETFがないのが難点ですが、現地の優良大手企業やREITの株式に自分で分散して投資しています。
- 日本円建て資産(高配当株、銀行、不動産、REIT)
将来の選択肢を広げるため、そして為替リスクのヘッジとして、円建ての資産も一定程度保有しています。- 日本の高配当株ETF: オルカンに含まれる日本株とは少し毛色の違う銘柄に分散する目的です。現状、私の収入が米ドル建てとリンギット建てになっているため、日本円建ての収入を得るという目的もあります。
- 日本の銀行株ETF: 他の先進国と異なり、日本はこれから金利が上昇していく局面です。金利上昇が収益増に繋がる銀行セクターを、スパイスとして少しだけ加えています。
- 日本の不動産業株式: インフレが進めば、家賃の上昇を通じて不動産会社の収益も増える可能性があります。金利上昇はマイナス要因ですが、そのせめぎ合いの中でどちらに転んでも良いように、銀行株と不動産株を両方持っています。
- 日本のREIT: 最近、価格がかなり下落していたので、インカムゲインと将来の値上がり益の両方を狙って保有しています。利回りが4.5%前後に達したタイミングで買い増すようにしています。現物不動産は管理費や修繕費など見えないコストが多いですが、REITはそれらを差し引いた後の利益のほとんどが分配金として支払われます。利回り4%でも十分に魅力的だと感じています。
- 推しの個別株・短期トレード 最後に、自分がよく理解している業界で、将来性があると感じる企業の株を長期で保有したり、地元の企業を応援する意味で「推し活」のように株を保有したりもしています。
趣味として短期・中期のトレードで利益を狙うこともあります。私の仕事柄、それなりに決算書は読めますし、海外のレポートや財務諸表を読むのも苦ではありませんので、個別株に投資をする際はしっかりと精査したうえで投資を決定しています。グロースよりもバリュー投資寄りです。逆張りはあまりせず、それなりに力強い上昇が見えてきたところで入ります。決算前にギャンブルで買うこともせず、良い決算が出た後にいったん上昇し、少し落ち着いて押し目がでれば買うことにしてます(それでも個別企業の株価が上がるかどうかは多くの要素に影響されますのでギャンブル要素は残ります)。予想に反して大きく下がったとき、損切りをするかどうかは元値より何パーセント下がったかとかではなく、購入するときに上昇すると思ったストーリーが残っているかどうかで決めます。買ったときの値段もあまり気にせず、その株が今のその値段であれば買うかどうか、という点で判断するように心がけています。もし他により勢いよくあがりそうなストーリーがある株式が見つかれば、含み損を抱えた株を塩漬けにするよりも勢いよくあがりそうな株式にドライに切り替えます。
ヘッジファンド、プライベートエクイティなどのオルタナティブ投資は?
全天候型ポートフォリオというと、ヘッジファンドのようなオルタナティブ資産を組み入れる案も散見されます。確かに、下落局面でも利益を狙える戦略は魅力的ですが、手数料が非常に高いこと、そして本当にヘッジとして機能するかは不透明な部分も多いことから、今のところは採用を見送っています。
プライベートエクイティに関しては、海外の名門大学のファンドや有名なノルウェー政府投資ファンドのポートフォリオを以前調べたときに結構な割合のプライベートエクイティ(未公開株など)が含まれているのをみて驚きましたが、私レベルの資産の場合はプライベートエクイティを組み入れるとポートフォリオのリスクバランスがかなり崩れますし、そもそもプライベートエクイティは流動性もなく、情報公開もかなり怪しいところがあるうえに、リターンを得るにはかなり時間を要するため今のところ対象外です。例外的に、コロナ以前にマレーシアの投資プラットフォーム「pitchIN」でマレーシアのベンチャー企業に少し投資をしたものがあり、その企業が順調に投資ラウンドも進めて機関投資家から資金も集め、実際にビジネスを拡大していますのでそれだけ保有しています。マレーシアは、中小企業であっても創業時から毎年法人税申告のときに外部の監査人の会計監査を受けてから税申告をするという制度になっていますので、少しだけ安心感があります。
なぜ「分散」がより重要になるのか
なぜ私が株式と債券だけでなく、それら以外の資産を組み合わせることにこだわるのか。その背景には、近年の市場環境の変化に対する私なりの考えがあります。
① アセットクラス間の「相関性」の変化
伝統的な資産分散の考え方では、「株価が下がるとき、安全資産である国債の価格は上がる」という負の相関関係が期待されてきました。不況時には、投資家がリスクの高い株式を売り、安全な国債に資金を移すからです。これにより、ポートフォリオ全体の値動きが安定しました。
しかし、近年のような「インフレ」が世界的な問題となる局面では、この株式と債券の逆相関の法則が崩れることがあります。インフレを抑制するために金融引き締め(利上げ)が行われると、株価が下落するのと同時に、金利上昇によって債券価格も下落するという、「株と債券のダブル安」が起こり得るのです。2022年がまさにそうでした。
このような環境では、伝統的な株と債券だけの分散では不十分かもしれません。だからこそ、これらとは異なる値動きを期待して、ゴールドやビットコインといった、金利を生まない代わりにインフレや地政学リスクに強いとされる資産を組み入れる価値が高まっている、と私は考えています。
昨今はハイテク株が相場を引っ張ってきましたが、すでにかなり先の成長分までも今の株価に織り込まれているとの見方もあり、今後、業界としては引き続き成長をするけれど、株価としてはあまり上がらないという時代が来るかもしれません。その際にはバリュー系の銘柄に投資マネーが流れてくるかもしれませんので、ハイテク系やグロース系に偏ったオルカンだけでなく、高配当系の全世界株ETFも保有するようにしています。超長期でみるとグロース株の時代とバリュー株の時代が循環すると思いますのでバリュー系が多く含まれるETFもコア資産としてポートフォリオに含めています。
② 通貨エクスポージャーの管理という視点
ポートフォリオを考える上で、「通貨」の視点は非常に重要です。特に、私がなぜ「オルカン」のような全世界株式ETFだけでなく、「全世界高配当株ETF」を組み合わせたり、円やリンギット建ての資産を別途保有したりするのか、その理由について少し踏み込んでお話しします。
まず大前提として、「オルカン」の構成銘柄の約60%は米国株式です。そのため、全世界に分散しているとはいえ、その価値は米国の経済や株価の動向、そして米ドルの価値に大きく影響されます。
一方で、私が組み入れている「全世界高配当株ETF」の場合、米国株の比率は約40%に抑えられ、非米国株の比率が相対的に高くなっています。この2つを組み合わせることで、ポートフォリオ全体として、特定の国(米国)への集中を和らげる狙いがあります。
その上で、通貨の話に入ります。
これらのETFは米ドル建てで取引されますが、ご存知の通り、その内部にはユーロや円など様々な通貨建ての資産が含まれています。そのため、例えば米ドルが他の通貨に対して下落(ドル安)した場合、ETF内部の非ドル資産のドル換算価値が上昇するため、ドル安がETFの基準価額に与えるマイナスの影響は、ある程度緩和(クッション)されます。 ドルが10%下落したからといって、ETFの価値が即座に10%下落するわけではないのです。
では、このクッション機能があるにもかかわらず、なぜ私は円やリンギット建ての資産を別に保有するのでしょうか。
それは、このクッション機能があったとしても、最終的に日本やマレーシアで生活する私が資産価値を測る際の「米ドル / 日本円」や「米ドル / リンギット」といった為替レートの変動リスクがゼロにはならないからです。
私の戦略は、この最終的な「通貨の換算フィルター」による目減りリスクを、より直接的にヘッジすることにあります。
- ETFの組み合わせによって米国への集中を緩和しつつ、
- 生活防衛資金としてマレーシアリンギット建ての資産を確保し、
- 将来を見据えて日本円建ての資産も保有する。
これにより、資産クラスの分散だけでなく、私自身の生活実態に合わせた通貨エクスポージャーの管理を行っている、というのが私の考え方です。
ポートフォリオのメンテナンス(リバランス)について
ポートフォリオを組んだら終わり、というわけではありません。市場の変動により、各資産の比率は当初決めた割合からズレていきます。そこで理想的には、年に1〜2回など定期的に資産の割合をチェックし、増えすぎたものを売り、減ったものを買い増して、元の比率に戻す「リバランス」を行うのが良いとされています。
…と、理論では分かっているのですが、これがなかなか難しい。値上がりして調子の良い資産を売って、値下がりしている資産を買うというのは、感情的に抵抗があるものです。ルール通りに実行できず、反省することも少なくありません。機械的に、ルール通りに実行する強い意志が求められますね。
まとめ
今回は、私が趣味で研究している「全天候型アセットアロケーション」の考え方について、その中身をありのままに書き出してみました。
もちろん、これが唯一の正解だとは全く思っていません。投資家の数だけ、それぞれの価値観やライフスタイルに合ったポートフォリオの形があるはずです。私自身、今後も学びながら、少しずつこのポートフォリオを変化させていくのだろうと思います。
【免責事項】 本記事は、筆者個人の見解や経験を共有することを目的としたものであり、特定の金融商品の購入を推奨したり、投資助言を行うものではありません。金融商品の取引は、ご自身の判断と責任において行っていただきますようお願い申し上げます。
それではまた。
2025年8月29日
司法書士 熊木 雄介
Email: info@office-kumaki.name
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