資金の集め方、「出資(資本金)」と「融資(借入)」の違い。

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こんにちは。

司法書士の熊木です。

 

今日は、マレーシア法人やラブアン法人が第三者/取締役や株主から資金を集める場合に取りうる2つの選択肢「出資」と「融資」の違いについて説明したいと思います。

 

以下で述べることは、既存の会社が追加で資金を集める場合だけでなく、

これから新規で会社を設立する人/会社が直面する、

投入する資金のうち、いくらを「出資」として、いくらを「融資」とするかという問題にもあてはまるものです。

 

最も基本的な違いは、

「出資」を選択した場合、当出資者は出資した分に相当する会社の株式を得て、会社の株主になるということに対して、

「融資」を選択した場合は会社の単に債権者に留まるということです。

つまり、第三者から資金提供を受ける場合に「出資」を選択するとすれば、既存株主の発言権は弱まることになるのに対して、

「融資」の場合、既存株主の発言権は維持されるということになります。

 

次に、資金を提供してくれた人に対するリターンの支払方法という観点から見ますと、

「出資」を選択した場合は、あくまでも会社に利益がでている場合のみ、その利益の中から配当を払うことができるのに対して、

「融資」の場合は、たとえ会社が利益を出していなくても、借りたお金に対する利息を支払うことが可能です。

 

また、会社が債務超過となり、最悪のケースとして倒産手続きへと進んだ場合、

株主(「出資」の方法により資金提供した者)は原則として提供した資金を一切回収できないのに対して、

債権者(「融資」の方法の方法により資金提供した者)は、法律の定めた順序に従い会社の資産から返済を受ける権利があることになります(とはいえ、会社の資産に比して債務が膨大の場合などは微々たる額の回収に留まることも多くありますし、回収までには通常長い時間を要します)。

 

最後に、税務の面から見ますと、

「融資」に対する利息の支払いは経費として計上できる(つまり、その分課税額が減る)のに対して、

「株主」に対する「配当」は経費として控除することはできません。

 

どちらを選択した方が良いというものではなく、それぞれにメリットとデメリットがありますので、

会社としても資金を提供する側としても、様々な事項を検討のうえ、どちらを選択するのかを決定する必要があります。

 

司法書士 熊木 雄介
Mail: info@office-kumaki.name

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