マレーシアのIT企業の免税措置「MSCステータス」が、衝撃的に厳しくなったようです。

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こんにちは。

KSG Holdings Ltd.の司法書士 熊木です。

 

マレーシアのIT企業優遇政策 - MSC ステータスの改正

マレーシアには、海外のIT企業を誘致するための優遇制度としてMSCステータスというものがありまして、

これを取得すれば、外国人のビザが取得しやすくなったり、最長10年の法人税免税/減税を受けることができる

というような素晴らしい特典があったわけですが、

去年(2018年の政権交代後)、制度の見直し等を理由として、凍結状態となっておりました。

 

この点、ひとまず、

MSCステータスで免税/減税の特典を享受するための新要件が

先月(2019年1月)に発表されたようです。

 

発表された内容は、

下記のマレーシア政府の電子公告のページからチェックできます。

e-Federal Gazzette
http://www.federalgazette.agc.gov.my/

 

ただ、この電子公告のページでは

MSCだけでなく、すべての政府公告が掲載されておりますので、

MSCに関連するものを見つけるのはなかなか困難かと思います。

 

4大会計事務所であるDeloitteさんがさっそく、この新しいルールの内容をわかりやすくまとめてくださっておりますので、

英語が読める方は以下のページをご覧いただければ、

すばやく概要を掴んでいただけるかと思います。

MSC Malaysia Tax Incentive Update
https://www2.deloitte.com/content/dam/Deloitte/my/Documents/tax/my-tax-espresso-government-grants-and-incentives.pdf

 

なお、今回発表された内容(新要件)は、

かなり衝撃的にハードルが高いです。

ひとまず下記の表をご覧ください。

 

注目は、

表の下から三段目の「Minimum number of full time employees」です。

 

なんと、

多くのMSCステータス企業が申請されていると思われる100%免税の優遇措置については、

データセンター事業をのぞき、30~50人の常勤スタッフが求められております。

また、1年間の支出額として、350万リンギットの支出も必要となるようです。

あまりにも急激な、条件の引き上げですね、、、。

 

やはりこれも、

私が先日からブログでご紹介しているラブアン法人の税制改正と同じく、

その背景には、単にマレーシア国内の事情による引き上げというだけでなく、

国際的な流れである「低税率国をつかった租税回避の防止」からくる、

先進諸国からの要請などがあります。

 

30人から50人以上のスタッフを採用しなければならないとなりますと、

今後、新しくマレーシア法人を設立して、この免税の特典を受けることでペイする企業の幅はかなり狭くなりそうですね。

 

既存の会社でMSCステータスの免税特典を享受している企業については、

この新しい要件をすぐに満たす必要があるか、また、取得から5年経過後の延長申請の際にこの要件を満たす必要があるか

という点につき、契約されている会計事務所のTax Agent さんと打ち合わせしておかれた方が良いかと思います。

 

知的財産権からの収入は免税対象外

あともう一点、今回の大きな改正としまして、

知的財産権からの収入を、この免税の対象から外す、というものがあります。

この点は、MSCステータス企業だけでなく、ラブアン法人の改正でも同様でしたり、

たしか、シンガポール等の国々でも同様の改正の流れがあったかと思います。

やはりこれも、タックスヘイブンの法人と(動かしやすい)知的財産権を利用したグループ会社内での利益操作を防止する

という世界的な流れからくるものと思います。

 

それではまた。

2019年2月19日

司法書士 熊木 雄介
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