ラブアン法人の就労ビザ保有者が日本へ帰国する場合に必要な手続き

 

こんにちは。

KSG Holdings Ltd.の司法書士 熊木です。

 

ラブアン就労ビザ保有者が日本へ帰国する際に必要な手続き

就労ビザでマレーシアに住んでいたけれど
結局更新せずに日本へ帰ることとなった場合、
以下のような手続きが必要となります。

ステップ1.税務署に対して、個人所得税の申告

ステップ2.税務署から、Tax Clearance Letterの取得&所得税番号閉鎖(=マレーシアにおける税金の支払いをすべて完了したことの証明書)

ステップ3.出国の航空券の取得(=日本行きのものがベター)

ステップ4.移民局にて、就労ビザのキャンセル(=出国する日まで、ビザの有効期限を短縮する手続き)

ステップ5.出国!

 

ステップ1と2は、数週間(あるいはそれ以上)を要することが多いですので、
出国を決定された方は早めに出国の1ヶ月以上前くらいから上記の手続きについて、
準備をスタートしていただくのがベターです。

なお、
ラブアン法人の就労ビザは、毎月1万リンギット以上の給料を受け取ることがビザの維持要件ですので、
ラブアン法人から実際に給料を引き出していなかったとしても、
毎月1万リンギットの給料が発生しているものとして個人所得税の申告を行う必要があります。
マレーシア滞在日数が183日以上の方は、0~28%の累進課税、
マレーシアの滞在日数が183日に満たない方の場合は、一律28%の税率で個人所得税が発生します。

 

急に帰国しなければならなくなった場合は?

もし急に本帰国しなければならなくなり、出国までの期間が短い場合、
Tax Clearance Letterの取得が間に合わないこともありますので
その場合は、ラブアン移民局に事情を説明し、
ひとまず1だけ終わらせてから、時間がかかる2(Tax Clearance Letterの取得)を飛ばして、3・4に進むこともあり、
今までのケースではこの方法も認められてきました。

4(移民局でのビザキャンセル)の手続きは、
ラブアン移民局へパスポートを郵送し、移民局でキャンセル処理がされて、手元にパスポートが戻ってくるまで
1週間から1週間半ほどの場合が多いです。
少なくともこの間は、マレーシア国内に滞在していただく必要があります。
もし上記の手続きを一切せず日本へ戻ってしまった場合、
ビザのキャンセルをするには、最低でもこの間はマレーシアに戻っていただき、マレーシア国内にて待っていただく必要があります。
( なお、直接ラブアン島移民局を訪問していただければ、1泊2日で完了しています )

2を飛ばして3以降を行い日本へ帰国した場合は、
日本に戻ってから、Eメール等のやり取りで、
3のTax Clearance Letter 手続きと所得税番号の閉鎖を進めることになります。

ただ、この方法(緊急の場合に、Tax Clearance を取得せずに、日本へ帰る方法)が今後もすべてのケースで同様に認められるかといいますと、
税務署の担当者の裁量次第でケースバイケースの部分もありますので、
やはりできる限り余裕をもったスケジュールを組んでいただくのがベターです。

 

ラブアン法人を閉鎖する場合

日本居住者には、日本の税制である「タックスヘイブン対策税制」が適用され、ラブアン法人を利用することの節税的なメリットはありませんので、
本帰国に合わせて、ラブアン法人の閉鎖をする場合も多いです。
(将来また海外へ移住する予定がある場合は、残しておくケースもありますが)

ラブアン法人を閉鎖する場合、
日本等と同じように、普通に、清算人(Liquidator)を選任して清算手続きをする方法もありますが、
ラブアンのようなタックスヘイブン独自の制度として、
毎年の更新費用(Annual Government Fee)の支払いを止めることで、その何ヶ月後(ラブアンの場合は8ヶ月後)に当局により会社の登記が抹消される
という制度(登記抹消:Striking Off)がありますので
その制度を利用して登記を抹消することも多いです。

注意点としては、
Striking off の制度を利用すれば簡単に「登記は」抹消されますが、
登記は抹消されたとしても
依然として、マレーシアの税務署には、会社の税番号の登録は残っていますので
毎年の法人税申告義務は残ります。

したがいまして、
単に、更新費用を支払わずに放置すればOKというわけではなく、
それまでの法人税申告を完了させ、
法人の税番号を閉鎖する手続きは行う必要があります。

これを怠り、翌年以降法人税申告をしなかった場合、
法人及び「取締役個人」に対して、
法人税申告をしなかったことに対するペナルティが発生しますので
ご注意ください。

 

Striking Off(登記抹消)の手続き:
ステップ1:法人税申告を完了させる&法人税番号を閉鎖する

ステップ2:年次費用の支払いをストップする

ステップ3:法人口座の銀行預金等の資産を債権者・株主等に返還する(株主へ返還する場合、Striking Offの前に減資の手続きを取り、株主へ払い戻す手続きを取るのがベター。給料や役員報酬として株主に戻すと、個人所得税の課税対象となるためです。)

ステップ4:年次費用の支払い期限から8ヶ月後に登記抹消

※ステップ1、2,3の順序は、各会社の年次費用の支払い日(法人設立日の1ヶ月前)により前後します。

 

マレーシア法人のStriking Off制度との違い

普通のマレーシア法人にも同様の名称(Striking Off )の会社を閉鎖する方法がありますが、
普通のマレーシア法人の会社閉鎖の場面で使われるStriking Offとラブアン法人のStriking Offは全く異なります。
マレーシア法人の場合も、休眠状態にある会社を登記所が自動的に抹消してくれるという制度自体はありますが、
ラブアンのように数ヶ月程度の休眠状態で自動的に抹消してくれるものではありません。

マレーシア法人の場合のStriking Off制度の使われ方としては、
会社の資産・負債をゼロに近い状態にし、活動を止め、そして、
積極的に会社側から登記所に対して会社の資産・負債がないことを財務諸表等を示すことで登記抹消してもらう
という使い方がされています。

 

簡易なStriking Offで登記を抹消する場合の注意事項

なお、Striking Offという登記抹消制度では、
登記は消えるものの、会社への法的な債務がある場合は
依然として債務は残るという制度ですので、
登記抹消後に発生したペナルティの支払い義務は残りますし(会社の活動が一切無い場合でも)、
登記抹消前に発生していた負債も、この登記抹消によって消えるわけではありません。

したがいまして、
もし会社自身に負債がある場合には、
ほったらかしにして登記抹消を待てば帳消しになるものではなく、
きちんと支払ってから登記抹消をするか、
あるいは、
通常の清算手続き(清算人を選任して、清算手続きを経て会社を閉鎖)をする必要があります。

 

それではまた。

2019年5月9日

司法書士 熊木 雄介
Email: info@office-kumaki.name

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