ラブアン島外(クアラルンプール等)にラブアン法人のオフィスを開設することの可否など。

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こんにちは。

KSG Holdings Ltd.の司法書士 熊木です。

 

ラブアン法人がオフィスを設置できるのは原則ラブアン島内

ラブアン法人というのは、

(マレーシア国内の特区である)ラブアン島を拠点として
マレーシア国外に向けてビジネスや投資活動を行うための法人制度

ですので、
主たるオフィスは、必ず、ラブアン島内に設置する必要があり、
原則として、マレーシア国内ではラブアン島以外の場所にオフィスを設置することはできません。

 

例外:マーケティングオフィス(KL等)。ただし、条件あり。

例外として、
ラブアン島内に主たるオフィス(マネジメント・オフィス: Management Office )があることを前提として、
ラブアン当局からの許可を得たうえで、
クアラルンプール、または、イスカンダル地域(=マレーシア半島南部にあるジョホール州の一部)にマーケティング・オフィス(Marketing Office ) を設置することが認められています。

ただし、
このマーケティング・オフィスは、
スタッフは4名まで、
そして認められる活動は、
クライアントとのミーティング等のみに留まり、
そこにラブアン法人の本店のような役割をもたせることはできませんし、
そのマーケティングオフィスにおいて、何かを販売したりするような活動はしてはいけません。

また、
「ラブアン当局の許可を得たうえで」と上述しましたとおり、
マーケティングオフィスを設置するためには、事前に、
マーケティングオフィスの活動を含めたビジネスプランやそこで採用される人員の履歴書、候補地等を
ラブアン当局へ申告し、審査をうける必要があります。

この申請&審査には費用も時間もかかりますし、
認可された後も、毎年、約7500リンギのライセンス料(マーケティングオフィスのライセンス)を
ラブアン当局へ支払うことが求められます。

さらには、
マーケティングオフィスを設置した会社は
通常のラブアン法人よりも、ラブアン当局へのレポート義務も多くなります。

・・・というように、
クアラルンプールやイスカンダル地域にオフィスを設けることが不可ではないものの、
結構手間も費用もかかり、大変ではありますし、そのようとも制限されています。

 

KL等に活動拠点を構えたい場合は普通のマレーシア法人

時々、

ラブアン法人を利用してクアラルンプールにオフィスを構え、
そこでエンジニアを採用してオフショア開発をしたいです

というようなお問い合わせをいただくこともあるのですが、
上記のような制限等からして、
このプランをラブアン法人を利用して実行することは難しいですし、私としては、あまりお勧めではありません。

そのようなご計画の場合は
普通のマレーシア法人をご利用いただく必要があるとお考えください。

 

なお、クアラルンプールではなく、ラブアン島に設置したオフィスにエンジニアを集めて開発を行う
ということであればもちろん法律的にはOKです。
ただ、ラブアン島はサバ州沖の離れ小島の田舎町(海もあまり綺麗ではない)ですので、
優秀なエンジニアを集める場としてはあまり向いていないというのが正直なところです。

 

他方で、
大人数の採用を行う必要がなく、ご自身または二人~三人程度で完結することができるようなビジネスであれば、
ラブアン法人を利用してビジネスをされることをご検討いただいても良いかと思います。
(その場合も、色々と税務上の注意点はありますので、それらを十分にご理解されることは必要です)

 

ラブアン法人の他に、KLに法人を設立しオフィスを構える場合の注意事項

ラブアン法人のほかに、普通のマレーシア法人を設立し、
クアラルンプール側のオフィスは、そのマレーシア法人名義で開設し、
現地スタッフの採用もマレーシア法人の方で採用する、
というかたちも場合によっては考えられないことは無いですが、
マレーシア法人のスタッフが仕事をして得た売上をマレーシア法人の売上として計上せず、ラブアン法人の売上として計上してしまったりして、
それが後からマレーシアの税務署に発覚した場合には、
その売上は、マレーシア法人の売上に参入され、マレーシアの普通の法人税制で課税されますし、追徴課税が発生するリスクがあります。

したがいまして、ラブアン法人のほかに、普通のマレーシア法人を設立し、KLに拠点を構える場合には
明確に、ラブアン法人の仕事とマレーシア法人の仕事を切り分ける必要があります。

 

マレーシア国外にオフィスを開設する場合の注意事項

あと、関連する論点としては、
ラブアン法人が、マレーシア国外にオフィスを開設することの可否については、
ラブアン側の法律的には、問題はありません。

ただ、
多くの国の税制では、
海外法人であっても、国内に恒久的施設(オフィス等)がある場合には
国内源泉の所得は国内の税法で課税対象とする

というような税制度になっているかと思いますので、
他の国にラブアン法人名義でオフィスを開設した場合には、その国でラブアン法人が課税の対象となる可能性が高まりますので
ご注意ください。
(この点は、各国の税制次第ですので、詳しくは、各国の税務の専門家にご相談いただくのがベターです)

また、各国の税制上の問題以外にも、
一般的に、海外の法人がその国にオフィスを開設し、ビジネス活動をする場合には、
「駐在員事務所(Representative Office)」の設置、
あるいは「支店(Branch)」の登録、
などが、会社法等によって求められる国が多いかともいます。
現実的には、その国にむけてビジネスをしておらず、単にレンタルオフィスの一室を借りているくらいであれば
この点に関して問題視されるケースは少ないかもしれませんが、各国ごとに制度は異なりますので
このような点もご注意ください。

 

それではまた。

2019年5月10日

司法書士 熊木 雄介
Email: info@office-kumaki.name

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