ジョージア起業・移住のメリットとデメリットをまとめてみました(2019年10月時点)。

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これはジョージアは関係なく、去年いったマルタ(Malta)の写真です。

 

こんにちは、KSG Holdings Ltd.の司法書士 熊木です。

 

今月下旬のジョージア(Georgia)出張へ向けて、

ネット上の情報を読み漁りつつ、現地の法律事務所とメールでやり取りを進めています。

 

日本やマレーシアとは結構大きく制度が違いますので苦労しましたが、

おおよそ、会社設立、口座開設、ビザ制度、税制などについて全体像が掴めたと思います。

 

国際会計事務所PWCがネット上で公開してくれているこの資料(Doing Business and Investing Georgia)は会計税務のことだけでなく、

経済、法務等のことも幅広くまとめられていて助かりました。

(ただし、他の会計事務所や法律事務所の情報と照らし合わせると、異なることが書かれているものもあったので、

最新の改正や各事務所による解釈の違いなどに注意は必要)

 

全体像をおおよそ掴んだ上で、たしかに、

ジョージアには、他の国々では得られないようなビジネス的な観点からの魅力がいくつもあるように感じました。

たとえば、以下のような点です。

1)日本国籍を含む多くの国籍保持者は、ビザ無しでも1年間滞在することができる

2)現地に出向かなくても、法人設立から銀行口座開設までを済ませることができる。

3)銀行口座開設も、他の国々に比べるとまだ開設しやすい(今のところ、CRSには加盟していないが近い将来加盟予定との情報もあり)。ビザ無しでも個人口座の開設が可能な様子。

4)法人税は15%。配当収入は5%課税。ただし、法人税については、配当(及びそれに相当する支出)をするまでは法人税は課せられない(エストニアと同様)。つまり、税引前の利益をそのまま再投資するということができそう。

(なお、ラブアン法人の場合でもそうですが、国をまたいでサービスや商品を提供する場合には、法人の登記国だけではなく、サービスや商品を提供する国の税制、法人の取締役や株主の居住国の税制などによっても課税されることがありますので、それぞれの関係国の税の専門家にもご相談いただきながら、スキームを組んで頂くことが重要です)

5)首都トリビシやその他の地域に免税地域(Free Industrial Zone)があり、要件を満たせば法人税や付加価値税の免税等を受けることができる。

6)ITビジネスについては、Virtual Zone Person/Entityという制度があり、比較的低い要件で免税を受けることができる。

7)外国人でも個人事業のような形態でビジネスを登録することができる(ただし、就労ビザの厳格化が進んでおり、この個人事業形態で就労ビザがおりるかどうかは別問題で要調査)。

8)居住用不動産も10万円前後でわりと中心地に住むことができそう(現地の不動産情報サイト:https://housinganywhere.com/s/Tbilisi–Georgia や http://www.rentals.ge/ など)。

 

他方で、デメリットのない選択肢というものは無いものでありまして、いくつか注意すべき点があるようにも感じました。

例えば、以下のような点です。

1)上述のとおり、日本人はビザ無しで365日滞在することはできるが、そのステータスのままジョージアで法人を登録し、ビジネスを行うことができるかどうかは、現地の専門家でも判断が別れている様子。安定したジョージア滞在のためにも、ジョージアで法人を登録するなら、ビジネス活動が認められるビザを取得した方がよさそう。

2)ジョージアは高い失業率(13%前後)が問題となっている。ローカルの雇用を守るため、外国人のビザ取得が引き締められる方向性である。

3)経済的不安定さ

国としてのGDPも、一人あたりのGDPもマレーシアと比べても半分以下。Moody’s等の格付機関による信用格付けもBランク(マレーシアは今のところまだAランク台)。現地通貨のジョージア・ラリ(GEL)も強い通貨とはいえないため、多額の資産を預ける先としては心配な印象。「ジョージアの魅力」として高い定期預金金利が挙げられている記事もみましたが、現地通貨の定期預金の利率が高いのは、経済成長率の高さとういプラス側面だけでなく、このリスクの高さを反映している面も大きいかと思います。

4)政治的不安定さ

ロシアとの政治的な緊張は今も継続しており、2019年はロシアがジョージア行きの飛行機の停止を禁止するなど、緊張が高まっている様子。

5)法人税が配当支払い時まで保留にされる点は魅力ではあるが、「配当支払い」だけでなく、その他の支払いの場合にも法人税が課せられるタイミングが規定されており、いつの間にか払うべき法人税を支払っていなかったということが起こりそう。

6)PWCの上記資料によると、Corresponding taxなるものを毎月払わないといけない旨の表記がCorporate Income Taxの欄にあり、どのような趣旨の支払いなのか要調査。

7)IT Virtual Zone等の免税措置を受けた会社は付加価値税(VAT)の適用が無いようだが、それ以外の一般的な会社は付加価値税課税事業者となり、届け出が必要なため、会計・税務の業務はそれなりに手間・コストがかかるものになりそうな印象。

8)言葉の問題。弁護士、会計士、銀行は英語でのやり取りは可能。ただ、マレーシアに比べると、英語が通じる割合が小さく、現地語であるジョージア語はマレー語のようなアルファベット表記でもなくわれわれ日本人には読むことが難しい。

9)実際の生活コストがどの程度か。マレーシアでもそうですが、ローカルと同じものを食べて、同じような地域に住めば確かに生活費は安くなりますが、日本食を食べたり、外国人が居住するような治安の良いエリアに住む場合には、逆に日本よりも高くなるものもありますので。

 

・・・というように、色々と気になる点やまだ不透明な点は多いものの、

人によっては上記のメリットがそれらを上回るケースも十分あるかと思います、

経済的な面だけでなく、地理的にも文化的にも非常に興味深い国でありますので、

ビザの要件が厳しくなりすぎない限りは、フリーランスのようなかたちでITビジネスをしている人が拠点を構える国としては、

面白い選択肢だと思います(もちろん上記のような政治的な緊張に対する心構えは必要ですが)。

 

ただ、マレーシアもそうですが、現地にいってみないことには見えない部分も多いですし、海外移住や海外起業はメリット・デメリットだけの観点でなく、その国やその国の人々が好きかどうかという観点も重要ですので、

まずは一度現地へ出向かれ、現地の人々や現地で起業した日本人の方々のお話しなどをお聞きになり、大事かと思います。

私の場合は、それがマレーシアでした(今ではマレーシア人のおおらかな仕事ぶりにだいぶ消耗していますが)。

 

それではまた。

 

2019年10月6日

司法書士 熊木 雄介
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