ジョージア法人の設立要件・税制まとめました(2019年11月現在)。

Tbilisi, Georgia

こんにちは。
KSG Holdings Ltd.の司法書士 熊木です。

ドバイ&ジョージア出張から戻ってきまして、
今週からクアラルンプールにて通常営業中です。

 

今回の出張の目玉はジョージアの法人制度&税制度の調査。
ジョージアの首都トビリシ(Tbilisi)にて、現地弁護士、会計士、銀行員等との打ち合わせを重ねてきました。

現地の英語力が若干心配でしたが、一般の人やタクシーの運転手さんの中には英語が通じない方がチラホラいたものの、弁護士、会計士は問題ありませんでした。

ただ、私が住んでいるマレーシアのクアラルンプールのようにどこでも英語が通じるという快適さはなく、
銀行員については、TBC銀行という最大手のローカル銀行の本店に行ったのですが
そこでさえも英語が話せる銀行員は限られており、口頭でのコミュニケーションに苦労しました。
( 個人口座開設のためにもう一つの大手銀行(The Bank of Georgia)のVIP部門(The Solo Bank)を訪問したのですが、そちらの方はVIP部門だけあって外国人の扱いにもなれており、
英語でのコミュニケーションは問題ありませんでした。)

クアラルンプールでは英語が通じなくて困るというのは生活のほとんどの場面で感じないのに対して、
ジョージアでは実際に生活すると言葉の問題でわりと困るのではないかという印象は受けました。

 

法人制度・税制度について

ジョージア法人、並びに、ジョージアにおけるIT事業への優遇制度IT Virtual Zone法人の会社法、税法等の要件を比較した表を作成してみました。
私がよく取り扱っているマレーシアの特区で設立できるラブアン法人との比較もしております。ご参照ください。

ジョージアの法人制度・税制度(2019年11月時点)

 ジョージア法人IT Virtual Zone法人ラブアン法人
会社法
最低資本金GEL 1GEL 1USD 1
居住取締役不要不要不要
ローカル株主不要不要不要
取締役最低人数1名でOK1名でOK1名でOK
株主最低人数1名でOK1名でOK1名でOK
法人株主の可否可能可能可能
設立時のオフィスの要否法人設立時にオフィス住所必要。
ただし、Regus等のバーチャルオフィスでも可能。
法人設立時にオフィス住所必要。
ただし、Regus等のバーチャルオフィスでも可能。
「IT Virtual Zone」という特定の場所があるわけではないので、ジョージア内のどこのオフィスでもOK。
設立時にオフィスは不要。
ただし、税務上の観点からは、現地にオフィスを構える等の実体要件を満たすべき。
ラブアン島以外の場所にオフィスを構えるには事前認可が必要。
設立の難易度容易。
現地に行かなくても可能。
現地に行かなくても可能。

ただし、法人設立後、IT Virtual Zoneの申請が別途必要。
難しくはない。
現地にいかなくても可能(銀行口座開設はマレーシア訪問必要)。
銀行口座開設の難易度他の国での口座開設に比べると容易だが、近年、ジョージア国内での経済活動を行わない業種についての口座開設を銀行側が嫌がる傾向があるとの情報もあり。他の国での口座開設に比べると容易だが、近年、ジョージア国内での経済活動を行わない業種についての口座開設を銀行側が嫌がる傾向があるとのことの情報もあり。他の国に比べると比較的容易であるが、ムスリムの国であるため、一部の業種は認められない。
税金
法人税15%国外からの収益に関しては0%。
国内からの収益は15%。
ラブアン事業活動(Labuan Trading Activity )は3%。

ラブアン非事業活動(Labuan Non-Trading Activity =Investment Holding活動のみのラブアン法人)は非課税。

ただし、現在、マレーシアは抜本的な税制改正の最中であるため、改正に注視が必要。
会計監査の要否不要不要必要
配当(及びそれに類似する支払い)に対する課税5%。
法人側が支払い時に源泉徴収して法人が翌月15日までに申請・納付。
5%。
法人側が支払い時に源泉徴収して法人が翌月15日までに申請・納付。
配当に対する課税はなし。
付加価値税(VAT)18%。
毎月翌月の15日までに申請・納付。
免除。免除。
個人所得税20%20%居住者は0~28%の累進課税。
非居住者は一律28%。
2020年以降、上限が30%になる予定。
申告配当時の法人税・源泉税や付加価値税について毎月必要。配当時の源泉税について毎月必要。毎年1回。
雇用
ローカルスタッフの雇用可能可能可能。
ただし、原則としてラブアン島内において。
外国人の雇用可能可能可能

なお、念の為、免責事項を書いておきますが、
上記の情報は、現地での専門家との打ち合わせで得た情報をもとに、
できる限り正確な情報を載せているつもりではありますが、もしかすると私の理解違いの部分がある可能性もあります。

実際に法人設立を検討される際、実行に移される際には、ご自身でもしっかりと調査していただきますようお願い致します。

もしこの情報に間違いがあり、それをもとにして取られた行動により何か損害が生じたとしても弊社では責任は負いかねますので、
ご参考程度ということでお願い致します。

 

IT事業への優遇税制

さて、話を戻しますが、
IT関連の事業を行う場合は、IT Virtual Zoneの申請をご検討いただくとよろしいかと思います。上記表のとおり、
海外からの収入に関しての法人税、付加価値税が免税されるというように節税になるだけでなく、
毎月の税務の手間やコストが下がる効果もあるかと思います。
( ジョージア法人では、原則として毎月配当や付加価値税に関する税の申告が必要ですので )

IT Virtual Zoneの認可が認められるのはIT関連の事業、たとえばアプリ開発、ウェブサイト製作、システム開発等ですが、
現地弁護士や会計士と話をしましたところ、実務的には、現状、インターネットに関する事業であれば幅広く認可されているようで、Eコマースでも認可された事例があり、オンラインマーケティングに関するコンサル業でも認められる可能性があるのではないかとのことでした。
ご自身の事業がITに関連しているものであれば、ひとまず現地弁護士に相談されるとよいでしょう。

 

会計・税務に関するご注意点

一つ注意点としまして、
ジョージアでの法人設立自体は手続きは非常に簡単で、頑張ればご自身でもできそうなものではありますが、
IT Virtual Zone等の優遇措置が適用されるかどうかという点や、
法人設立後に毎月チェックが必要となる配当や付加価値税の申告・納付のことなどをも考慮しますと
初めから専門家に依頼して法人設立、毎月の会計や税務を依頼される方が良いかと思います。

とくに、
インターネット上では「ジョージア法人は配当するまでは非課税」とシンプルに記載されていることが多いですが、
実際は、配当だけでなく、「事業に関係のない支払いや支出」や「役員への貸付」などのような場合でも法人税が発生する場合があり、
知らず知らずのうちに、本来払わないといけない法人税を払っていなかった
というようなこともありえます。
(ジョージアは1年に一回まとめて決算をして法人税を支払えばOKというものではなく、
配当等を支払った月の翌月15日までに支払いが必要ですので。)

中心地のショッピングモールにビットコインのATMありました。

登記国だけでなく、他の国の税制にも注意!

このブログでは何度か書いていますが、
ジョージアのIT Virtual Zone制度やラブアン法人のような低い税率の法人を利用して国際的にビジネスや投資を行う場合、
その法人登記国だけでなく、サービスや商品を提供する先の国、投資先の国、役員や株主が居住している国の税制次第や御社ビジネスの形態によっては、
それらの国々においても課税(所得税や消費税等)の対象となる可能性があります。

したがいまして、事前に、関係する各国の税の専門家ともご相談いただき、それらの国々での課税についても十分にご理解されておくことが重要です。

また、日本に居住しながら海外の低税率の国の法人を利用して節税を試みるというのは、
現在の日本の税制(タックスヘイブン対策税制等)や現在の世界的な税制改正の流れ(実体を求める流れ)からしますと非常に難しいかと思いますので、
やはり実際に現地に移住される方や、現地にてオフィスを構えスタッフを採用して実際にそこでビジネスを行う予定がある方や企業様がこれらの制度を利用するメリットがある
とお考えいただいた方がよいです。

 

ビザについて

ビザについては、

日本人(及びその他いくつかの国籍の人)は別途ビザを取得することなく1年間滞在でき、
かつ、出国して再入国すれば再度1年間の滞在が可能となるということだけでなく、
そのビザで会社を設立し、別途就労ビザをとることなく就労しても問題はない

との弁護士からの回答でした。

法律的に問題はないかどうか、という明確な回答をもらいたかったのですが
それについてはなんとなくはぐらかされ、代わりに、
「私は15年以上ジョージアで弁護士業をしていて、外国人の起業を何百件もサポートしてきたので信頼してほしい。
日本人であればわざわざResidency Passを別途申請する必要はない」
との回答が何度もありました。

なお、私が質問する際には、「Work PermitやBusiness Visaを別途申請しなくてよいか」
という単語をつかって質問したのですが、
弁護士からの回答ではWork Permit等の単語はつかわれず、「Residency Passの申請は別途不要」という回答でしたので、
「ジョージアでは、Residency Pass = 就労する権利があるということなのか」と聞くと「Yes」とのことでした。
私自身は、Residency Passを取りつつ、Work permitの申請も必要ではないかと考えていたのですが、
弁護士曰く、「Residency Passを取れば就労することができ、
そして、日本人等の場合はわざわざそれを申請する必要もない」とのアドバイスでした。

この点は、この弁護士や他の現地専門家からの回答から得た印象としては
たしかに、わざわざビザを申請する必要はなさそうには感じましたが、
ただ、以前の私のブログ記事で紹介したように政府の中ではこの点を議論の対象としている様子もありましたので、
現地に移住された後、現地情報を注視していただき、状況にあわせて対応していただく必要はあるかと思います。

ただ、ジョージアでは失業率が13%ほどもあり、その原因の一端は外国人労働者にもあるようですので
実際にこの簡易なビザ制度をつかってジョージアで働いている外国人が多くいるということではあるようです。

なお、
今回のジョージア滞在中、現地在住のウクライナ人のコンサルタントやインド料理屋をオープンしたインド人ともビザについて話しましたが、
前者はResidency Passを取得し、1年毎に更新している、
後者はすでに長くジョージアに滞在しており、永住権を取得したとの話でした。
(実際に彼らのビザを見せてもらったわけではありませんし、ビザについては本人もよく理解していないことも多いですので、真実とは異なる可能性はありますが)

 

ジョージアでの法人設立サポート

今回の出張にて、ジョージア現地の弁護士、会計士、銀行やレンタルオフィス会社との繋がりをつくってきましたので、
もしご希望があればそれらのご紹介も可能ですし、
必要でしたら弊社が間に入り、ジョージアでの法人設立やIT Virtual Zoneやレンタルオフィス契約のサポートをさせていただくことも可能です。

ご希望の方がいらっしゃいましたら、まずは私熊木宛に、メールにてお問い合わせくださいませ。

KSG Holdings Ltd.
熊木 雄介(司法書士)
Email: info@office-kumaki.name

 

ジョージアでの個人口座開設

今回の滞在中、私自身もお試しで現地銀行で口座開設してきました。上にも書きましたTBC Bank、並びに、The Bank Of GeorgiaのVIP部門(=HSBCでいうプレミア口座部門)のThe Solo Bankという口座です。

ジョージアでは口座開設が簡単であるとの噂どおり、実際、パスポートを持ち込めば現地ビザ無しでも口座開設することができました。
当初数百円の口座開設手数料がかかりますが、それ以外にはイニシャルデポジットは求められず、
初日に口座開設申請、二日目にデビットカード交付とオンラインバンキングの開設というスピードでした。
(ただし、Solo Bankは毎月1,000ユーロ以上の入金が必要で、それを下回った月が3ヶ月続くと口座が閉鎖されるとのこと)

基本的にはパスポートと携帯電話番号(アクティベートのためのSMSを受け取るため)があれば開設できますが、
TBCの方はマレーシアの携帯電話番号でSMSを受け取れたのですが、Solo bankの方はマレーシアの携帯電話での登録は認められたものの、なぜかSMSが届かなかったため、
ジョージア空港で買っておいたジョージアのSIMカードの番号を登録しなおし、そちらでSMSを受け取りアクティベートを完了させました。
マレーシアの番号でSMSを受け取れなかったのはシステム的な一時的な不具合かもしれませんので、ジョージアの番号が必須というわけではない印象でしたが、
念の為準備しておかれた方がよいかもしれません。
なお、電話番号はアクティベートの際のみに必要とのことでしたので、一時的なものでもOKとのことでした。

USD口座に連結するVISAやMasterCardのデビットカードをつくることもでき、オンラインバンキングで国際送金も可能で、
オンラインバンキング上で定期預金を簡単に組むことができます。
私もまだ試していませんが、定期預金の利率は、1年定期の場合、USドル建てで3~4%ほど、現地通貨GEL建ての場合は10%前後でした。

GEL建ての利率が異常に高く、魅力的に映るかもしれませんが、通貨としては非常に不安定で、この数年の間に対ドルで十数%下がったりしていますので、
利率だけをみて高額を投資するのは危険ですのでご注意ください。
ただ、この数年間下がり続けてきたので、そろそろ来年あたりから上昇に転じるのではないかということもいわれていたりするようです。

Solo Bank
Solo Bankにて。

 

以下のリンク先の記事は、GELやジョージアの経済状況のここ数年の経緯や今後の予測などがまとまっていますので、英語を読める方はぜひ。

Georgian Lari (GEL) predictions and analysis for 2020

上記記事にも書いていますが、近年ジョージアは外国からの投資の引き上げや新規投資の減少により、経済的に少々厳しい状況にあります。
経済回復のため、外国からの投資をぜひとも呼び込みたいとのことで様々な優遇政策(IT Virtual Zone等)を実施しているようです。
(他方で、大手銀行TBC Bankの創業者によるマネーロンダリング事件が発生したこと等により、銀行は厳格化傾向にあるようです)

 

それではまた。

2019年11月5日

司法書士 熊木 雄介
Email: info@office-kumaki.name

※ ご相談やお仕事のご依頼につきましては、まずはEメールにて、ご相談内容・ご依頼内容をお送りいただけますと幸いです。

※ 弊社は、毎月複数件のラブアン法人設立、就労ビザ申請、法人口座開設をお手伝いさせていただいております。また、我々司法書士には守秘義務がありますので、安心してご相談くださいませ。

※ 匿名でのお問い合わせや十分な情報をいただけないお問い合わせにはお応え致しかねます。あらかじめご了承くださいますようお願い申し上げます。

 

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