ラブアン法人が今の時期(年初から夏頃まで)に必要となる手続きについて。

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こんにちは。
KSG Holdings Ltd.の司法書士 熊木です。

すでにご存知の方も多いと思いますが、
マレーシアは3月18日からロックダウンに入っており、
当初は3月末までの2週間のロックダウンのアナウンスであったものが
14日延長されて、4月14日までとなり、
そして先日、2度目の延長がアナウンスされ、
4月28日までということになりました。

私自身も自宅からのリモートワークが続いております。

なお、このロックダウン中にもラブアン法人の設立申請を行った案件や、
ロックダウン直前に申請を行ったラブアン法人の就労ビザ申請があったのですが、
それらについては認可の連絡が届きました。
ロックダウン中でラブアン側の当局の方々も仕事にプライベートに大変な中、感謝しかありません。

 

さてさて、
今日は、ラブアン法人に関しまして
この時期(年始から夏頃まで)に必要な届け出について整理してみようと思います。
2019年度の決算のほかにも、色々な届け出が重なる時期ですので
今回が初めての決算を迎えるクライアント様は混乱されているかと思います。
ご参考になれば幸いです。

 

まず、この時期に必要な届け出は以下の三つです。

(1)2019年度の法人税申告 Corporate Tax Return ※すべてのラブアン法人が必須。
(2)2019年度の雇用主届 Employer Return ※すべてのラブアン法人が必須。
(3)2019年度の個人所得税申告 Personal Tax Return ※就労ビザの発給を受けている方、等

 

そして、
ラブアン法人は、毎年法人設立月の1ヶ月前までに、ラブアン当局に年次報告(Annual Return)と
年次更新費用(Annual Government Fee、Annual Company Secretary Fee等)を支払わなければなりませんので、この時期に法人を設立したクライアント様の場合は、上記の3つの届け出の他に、

4)年次報告、年次更新費用の支払い Annual Return、Annual Government Fee、Annual Company Secretary Fee

が重なることとなります。
この(4)年次更新等は、(1)法人税申告や(2)雇用主届と混同されることが多いのですが、
どれも別の手続きですので、それぞれに別々に対応が必要となります。
( なお、法人設立月が別の時期のクライアント様の場合は、もちろんその別の時期に同じ年次報告・年次更新費用の支払いを行うことになります )

 

以下、上記の(1)から(4)について、
それぞれ詳しく説明していきます。

1)法人税申告 – Corporate Tax Return:Form LE1

もともと、申告期限は2020年3月末でしたが、
2020年に入ってから実施された税制改正が2019年度に遡って適用されることや、
いまも協議が続いている内容についても2019年度に遡って適用されることから、
2019年度の決算を2020年3月末までに完了させることはほぼ不可能であることから、
すべてのラブアン法人を対象に、申告期限が2020年7月末まで延長されました。

7月末というとまだ3ヶ月半ほど先ですので十分な期間があるようにお感じになる方もいらっしゃるかもしれませんが、
今回の2019年度の決算に関しては、2018年度までと違い、
すべての事業会社が
Auditorによる会計監査を受けることが必須となりましたので、
3ヶ月半でも十分な期間とはいえません。

2019年中に一切売上がなかった会社や、一切活動をしていない会社、そして2019年の秋から冬頃に設立したような会社も、
2019年12月末までの会計帳簿を作成し、申告をする必要がありますので、ご注意ください。

以前このブログでも書きましたとおり、
法人税申告を期限までにしなかった場合のペナルティの金額が改正されており、
一回目の遅滞に対して100,000リンギ(約270万円)のペナルティが発生します。

このペナルティは、支払わなかった法人税に対するペナルティではなく、申告をしなかったということに関するペナルティですので、
利益の額などによって変わるものではありません。
一切事業活動をしていないような会社に対してもこのペナルティは生じますので、
7月末であるからといって優先順位を下げることなく、
今すぐ取り組んで頂くのがベターです。
( ペナルティに関する私のブログ記事: https://kumakiblog.com/?p=3951 )

ちなみに、ラブアン法人の中には、7月末まで期限が延長されたことを今の時点では明示せず、
ひとまず「5月末まで延長されました」とのみ伝えている会社も多いです。
私の先日のブログ記事( https://kumakiblog.com/?p=4102 )も実は同様の趣旨でした。

なお、依然として、
2019年度の決算に関して適用される税制・税率・実体要件などについて多くの議論やグレーゾーンがあり、当局からの更なるアナウンスを待っているところですが、
ひとまずは、
決算作業のうち、第一ステップである会計帳簿作成、第二ステップであるAuditorによる会計監査までを終わらせておき、
第三ステップである法人税申告に関しては、更なるアナウンスがあり、方向性が明確になった後に行う、
というのが今の現場の基本的な方向性です。

 

2)雇用主届 – Employer Return:Form E

ラブアン信託会社によっては Employer Tax Return という表記をする会社もありますので上記の法人税申告(Corporate Tax Return)と混同されやすいのですが、
どちらもまったく別の手続きです。

この雇用主届も、もともとは2020年3月末が申告期限でしたが、
Covid-19によるロックダウン等の影響により、2020年5月末まで期限が延長されています。

この雇用主届は、

1)2019年中のそのラブアン法人における役員や従業員の変化(新規採用・退職等)、
2)それぞれに支払った給料の額

等々を会社から税務署へ届け出る
というものです。

税務署としては、
会社からのこの届け出を、
従業員側から税務署に対して行われる上記の「(3)個人所得税申告」とを照らし合わせてチェックするということを行います。

ちなみに、マレーシアと日本の違いとしまして、
雇用主である会社側が、役員や従業員に給料を支払う際に個人所得税の源泉徴収を行って税務署へ納めるのは日本と一緒ですが、
マレーシアでは個人側においても、
原則としてすべての従業員が税務署に対して個人所得税の申告を毎年4月末までに行い、
そして、他の収入を申告したり、控除等を申告して還付請求を行ったりします。
( 上述のとおり、2019年度に関する個人所得税申告については
申告期限が、当初の4月末から6月末に延長されています。 )

なお、重要な注意事項としまして、
この雇用主届や下記の(3)個人所得税申告に記載する2019年度に支払った給料の額などは
法人税申告の際の2019年度の会計帳簿と一致している必要がありますので、
会社の帳簿の内容とも照らし合わせながら、雇用主届等を行っていたくことをお勧め致します。

また、2019年度に関して「実体要件」のための現地従業員等を雇った方や、
実は従業員を雇っていたにもかかわらず、源泉徴収の手続きを忘れていて、
今から2019年度にバックデートして源泉徴収手続きを行う方などは、
この雇用主届の内容にも影響してきますので
「実体要件」に対する対応とも照らし合わせながら、ご準備が必要となります。

 

3)個人所得税申告 – Personal Tax Return: Form BE、またはForm M

ラブアン法人から給料の支払いを受けている人は、
たとえ会社が源泉徴収の手続きを行っている場合でも、
個人所得税の申告を行う必要があります。

この手続きに関する注意点としまして、
ラブアン法人から就労ビザの発行を受けている方は、
実際にはラブアン法人から毎年給料を受け取っていなかったり、引き出していないような場合でも、
毎月1万リンギの給料を受け取ることが就労ビザの要件ですので
毎月1万リンギの給料を受け取っているものとして処理する必要があります。

なお、この個人所得税の申告に関しては、
ラブアン信託会社から、上記の雇用主届に関する案内と一緒のメールで届くことが多いです。

個人所得税の申告については、給料や役員報酬等を支払っていないラブアン法人には関係はありませんが
雇用主届に関してはすべてのラブアン法人が対象となりますので、
雇用主届に関してはすべてのクライアント様が案内をご精読いただき、ご対応くださいませ。

 

4)年次報告、年次更新費用の支払い – Annual Return、Annual Government Fee、Annual Company Secretary Fee等

この手続きは、
ラブアン法人が設立月の1ヶ月前までに毎年求められるものです。

上記のとおり、
法人税申告や雇用主届とはまったく別の手続きですので
この手続きに関するメールが届いた方は別途ご対応が必要となります。

なお、この手続きの趣旨としては、
登記されている会社の情報がアップデートなものか(もし変更事項があれば変更届が必要)、
そして、
ラブアン当局に対する法人更新料の支払い、
御社のCompany Secretary(会社秘書役)に就任しているラブアン信託会社に対して次年度のCompany Secretary費用等の支払いを行う
というものです。

 
 

それではまた。

2020年4月13日

司法書士 熊木 雄介
Email: info@office-kumaki.name

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