【重要&要急ぎ対応】ラブアン法人の予定分納やTax Agent選任の件など

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こんにちは。
KSG Holdings Ltd.の司法書士 熊木です。

ラブアン税制の最新情報等、シェアさせていただきますので、
以下、ご参照ください。

すべて重要な情報ですが、特に、2~4にかけては、
急いで対応が必要な点でもありますので、ご精読お願い致します。

1.ラブアン金融庁からの協力依頼

昨晩あたりから、ラブアン信託会社から順次メールが届き始めているかと思いますが、
Other Tradingの件に関して(※)、財務省と交渉しているラブアン金融庁(Labuan FSA)からの協力依頼がありました。

※先月の私のブログ記事をご参照ください。
https://kumakiblog.com/?p=4468

 

ラブアン金融庁からのリクエストとしては、

Non-Licensed Labuan Trading entity (=IT業、コンサル業、貿易業、Agency業、Management Service業などほぼすべての一般事業会社)は、
業種・売上・税引前利益・納税額などを所定のエクセルシートに記入のうえ、データを送信してほしい

とのことです。

狙いとしては、Non-Licensed Labuan Trading Entityがどれだけの税金をマレーシアにおさめており、
もしこれらの会社が、今回の税改正の影響によりマレーシアを去ってしまった場合、
マレーシアにどれほどの税収減などの経済的損失を及ぼすか
ということをアピールするというものかと思います。

この協力依頼に関しては、
この交渉の結果が2020年度の税申告に影響を及ぼすこともあり、
できる限り早い解決が求められますので、
かなり急ですが、
2021年2月6日(または9日)までの提出を求められております
(提出期限は、窓口となっている信託会社によって異なります)。

 

2.2020年度の法人税申告に関して

2020年度の法人税申告についても、昨晩あたりから、順次、案内のメールが信託会社から届いているかと思います。

上述のとおり、今の時点では、ラブアン側と財務省の交渉は良い結果には至っておらず、
このままですと、
Other tradingに該当する業種も含め、一般の事業会社はすべて(IT業、コンサル業、Agency業、Management Service業、貿易業なども)、
ラブアン優遇税制ではなく、
2020年度に関して、通常のマレーシア税制での申告が求められる状態とのことです。

そして、
その場合、決算の手続きが、ラブアン税制での申告とはまったく違ったものとなりまして、
私の1月18日のブログにも書きましたが、
マレーシア税法での申告の場合、

第一ステップ:会計帳簿作成

第二ステップ:Auditorによる会計監査

第三ステップ;Tax Agentを選任し、マレーシア税法に基づいて課税所得を計算してもらった後、その課税所得に対してマレーシア税法の税率(17%~24%)を適用して税率が算出され、税申告・支払いを行う

ということになり、
第三ステップにおいて、Tax Agentという専門家を選任し、
申告を行うことが求められます。

ラブアン税法での申告の場合は、
「第二ステップ:Auditorによる会計監査」によって作成された会計監査レポート上の利益(=会計ルールに基づいて算出された利益)が課税所得となっていたのに対して、
マレーシア税法の場合は、会計上の利益が課税所得となるのではなく、
税法上、「損金として認められるかどうか」という別の論点なども考慮されて課税所得が決定されることとなります。

「会計上は経費として計上すべきだけれど、税法上は損金として認められない」というものもありますので、
課税所得が違ってくることになります。
(念の為補足しますと、
第一ステップや第二ステップの計算が間違っていたということではなく、
会計上と税務上では、まったく別のルールが適用される、ということによるものです)

Tax Agentは、ラブアン信託会社から紹介を受けることができます。

 

3.マレーシア税法において求められる予定分納(CP204)について

ラブアン信託会社からのメールにも記載されているかと思いますが、
ラブアン税法と全く異なる点としてもう一点ありまして、
マレーシア税法の場合、予定分納(マレーシアでいうところのCP204)が求められます。

ご注意点としまして、日本の予定分納制度とマレーシアの予定分納制度は全くことなります。

日本の場合、前年度の納税額に基づいて、税務署から予定納税額が知らされる、という制度かと思いますが、
マレーシアの場合、会社側が、次期の納税額を予測し、それを12回に分けて払っていく
という制度となっております。

たとえば、通常は、来期の1ヶ月前まで(たとえば、2021年1月1日が期首の場合は、2020年11月末まで)に
来期の予定納税額を提出し、その後、2021年2月から12回で分割して支払っていくということになります。

なお、
この制度の正確なこと・最新の情報はTax Agentにご確認いただく必要がございますが、
ひとまず現時点での私の理解では、
この予測による予定分納の額が、実際の法人税額を30%以上下回ってしまいますと、
その差額に対して10%のペナルティがありますので、
しっかりと予測をしていただくことが求められます。

とはいえ、次期が始まる前に正確な予想をすることは困難ですので、
6ヶ月目と9ヶ月目に、予定分納額を修正できるという制度となっていますので
新設法人などは、ひとまず最初の時点では、予定納税額を0として申告し、
6ヶ月目の時点や9ヶ月目の時点で、そのときの利益額などから2021年度の納税額を予測し直し、
その後、まとめて数ヶ月で支払う
というようなこともことも可能とされています。

もし予定納税額をひとまず0として申告することが認められるケースの場合、
この方法のメリットは、現時点では、ややこしい納税額の予測をする必要がない点ですが、
デメリットとしては、
5ヶ月目まではゼロで支払い、6ヶ月目まは9ヶ月目に修正を行い、以降でまとめて支払う場合、
残りの数ヶ月で予定納税額の全額を支払わないといけませんので、
その時点でのキャッシュフローが悪くなる可能性がある
という点があげられています。
(ただ、この点は、予想される納税額をある程度はきちんと口座に残しておけば
問題はないかと思います)

この予定分納についても、Tax Aentを通して手続きを行うことができます。

なお、念の為、繰り返しになりますが、
この予定分納のことも含め、マレーシア税法に基づく申告については、
ラブアン税法での申告とはかなり違い複雑ですし、ケースバイケースの部分も多いですので、
正確なことについては、Tax Agentを選任のうえ、ご相談いただくことをお勧め致します。

 

4.2020年度の申告について

なお、今の時点で、ラブアン信託会社から提示されている選択肢としては2つあります。

選択肢1:
ラブアン側から財務省への異議申し立ての結果を待たず、マレーシアの通常税制(ITA)での申告準備を開始する。

その場合、ラブアン信託会社にその旨を伝え、Tax Agentを紹介してもらい、
ITAでの御社の法人税番号の登録、
そして、2021年度に関する予定分納の申請を早急に行う。

なお、2021年度の予定分納は、通常、2月から支払いが始まりますので
ペナルティなどの事態を避けるため、
できる限り急がれたほうがよいとのことです。

 

選択肢2:
ラブアン側と財務省の交渉の結果が良い結果になることを期待し、
今の時点では、まだTax Agentの任命・ITAでの登録・予定分納の申告は行わず、
引き続き、財務省からのフィードバックを待つ。

ただ、この選択肢に関しては、
結局、財務省が折れず、マレーシア法人税制が適用されるとなった場合には、
予定分納の届け出や支払いが遅れていることに対してペナルティなどが生じてしまうかもしれない
というリスクがありそうです。

なお、財務省との交渉の結果がよい結果に帰結し、
Other Trading(あるいは、最良のケースとしてそれ以外の一般業種も)ラブアン優遇税制の対象となった場合でも、
少なくとも、2020年度において実体要件(ラブアンにおけるフル勤務の従業員等)を満たしていない限りは3%の適用にはならず、ラブアン税法に基づく24%が適用されます。
(かなりややこしいですが、
この場合は、あくまでもラブアン税法に基づく24%ですので
通常のマレーシア税法に基づいて24%になる場合と異なり、
Tax Agentの選任や予定分納は不要である、という点が異なります)

 

また何かアップデートが入り次第、このブログでシェアさせていただきます。

それではまた。

2021年2月4日

司法書士 熊木 雄介
Email: info@office-kumaki.name

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