カンパニーセクレタリー Company Secretary の変更やカンパニーセクレタリーサービスを提供している会計事務所の変更をお手伝いさせていただくことがあります。
カンパニーセクレタリー変更を希望される理由は皆さま様々で、
・毎月顧問料を払っているにもかかわらず、十分なアドバイスをしてもらえない。
・書類準備が遅い。
・担当のセクレタリーが海外出張等で不在であることが多く、書類の準備が遅くなりがち。
・提供されているサービスに対して、料金が高いように感じる。
・自社事務所の近くのセクレタリーに変更したい。
・カンパニーセクレタリーサービスと会計・監査・税務をワンストップで提供してくれる会社に変えたい。
・マレーシア居住取締役 Residential Director として、セクレタリー会社から名義を借りていたが、その方が退任することとなったので、名義を貸してくれる他のセクレタリー会社を探さなければいけなくなった。
などです。
現在のカンパニーセクレタリーに対する様々なご不満をお聞きするのですが、一点ご注意としまして、皆さまよく誤解されているのですが、カンパニーセクレタリーとは、会社法マターのことに関してアドバイスやコンプライアンス管理や書類準備や登記手続きを行う専門家ですので(日本でいうと司法書士。)、会計・税務・監査に関するアドバイスやコンプライアンス管理は彼らの業務ではありません。
この誤解は、カンパニーセクレタリーサービスが多くの会計事務所によって行われていることから来ているものかと思われますが、たとえ会計事務所にカンパニーセクレタリー業務を依頼したとしても、別途彼らをAuditorやTax Agentとして選任しませんと監査や法人税マターに関するアドバイスを受けることはできませんし、毎月の記帳代行や社員の源泉徴収手続きなどのことについてはさらに別途サービスを依頼しなくてはなりません。
日本では、税理士さんと顧問契約を締結することで法人税マター以外のことに関しても税理士さんからアドバイスや情報提供があるのが一般的ですので、カンパニーセクレタリー料という毎月の顧問料のようなものを払っているという事実から、マレーシアでも同様の情報提供やサポートや気配りなどがあるとお考えの日本企業様が多いですが、残念ながら、士業のサービスは日本とは大きく異なりますのでご注意ください。この誤解が、カンパニーセクレタリーに対する不満の原因になっているように感じます。もちろんセクレタリー側の事前説明の不足も大きな原因ですが。
それでもなお、現在のカンパニーセクレタリーを変更したいとお考えであるとすれば、もちろん変更は可能です。
カンパニーセクレタリーの選任・解任は取締役会の権限ですので、基本的にはいつでも御社のカンパニーセクレタリーを変更することが可能です。
その手順は次のとおりです(事案によって前後することはあります)。
1.新しいカンパニーセクレタリーを探します。
2.新しいカンパニーセクレタリーの方でカンパニーセクレタリー変更に関する書類を準備してもらい、取締役が署名をします。変更に関する書類とは、(1)カンパニーセクレタリー変更に関する現カンパニーセクレタリー宛レター、(2)Form49:役員名簿、(3)Form44:登記住所変更、(4)取締役会議事録などです。Form44が必要となる理由は、カンパニーセクレタリー変更に伴い、御社の登記住所Registred Addressとして利用している現セクレタリーの住所を新セクレタリーの住所へ変更することになるためです。
3.現カンパニーセクレタリーに対する未払いの報酬があれば完済します。
4.新カンパニーセクレタリーからマレーシア会社登録委員会 Company Commission Malaysia へカンパニーセクレタリー変更の書類を提出します。
5.新カンパニーセクレタリーが旧セクレタリーから、御社に関する法定書類をすべて引き継ぎます。
居住取締役/株主の名義をセクレタリー会社から借りていた場合は、その変更手続きも必要となりますので、それらの変更手続きに関する書類準備も同時に、もしくはセクレタリー変更後に行うこととなります。
なお、居住取締役の解釈は、各カンパニーセクレタリー会社によって異なりますので、現在のセクレタリー会社の説明では御社の場合必ず居住取締役の名義借りが必要とされていたにもかかわらず、新しいセクレタリー会社の居住取締役の解釈によれば名義借りをする必要はなく、ご自身を居住取締役として認めてくれるということもありえます(そのようなセクレタリー会社を選べば、毎月の名義借料数百リンギが不要ということになります)。
新しいカンパニーセクレタリーを決定される際には、以下のような要素を判断材料にされるとよいでしょう。
・居住取締役に関してどのような解釈をとっているセクレタリーか。名義借りが必要かどうか。
・カンパニーセクレタリー業務を専業としている会社か、それとも会計事務所や法律事務所がセクレタリーサービスを提供しているか。それぞれの強みと御社のニーズがあっているか。
・御社事務所からアクセスしやすい場所にあるか。
・セクレタリーを何人登録してくれるか。二人以上登録してくれるなら、一人が海外出張等で不在の場合でも、もうひとりの署名にて議事録や各種Formを発行してもらうことができますので、各種手続きがスピーディーです。
・カンパニーセクレタリーサービスに関する基本報酬。
カンパニーセクレタリーやそれを提供している会計事務所の変更をお考えの企業様がいらっしゃいましたら、ぜひ弊社にご相談くださいませ。弊社が提携している複数のカンパニーセクレタリーから、御社のニーズや状況や立地に合致したセクレタリーを選別させていただくとともに、実際の変更手続きをサポートさせていただきます。併せて、AuditorやTax Agentの変更もサポート致します。
2015年10月11日
司法書士 熊木 雄介
Email: info@office-kumaki.name
※お仕事のご依頼に関しましては、まずはEメールにて概要をお送りいただけますと幸いです。