マレーシア居住者が海外ETF(S&P500など)を購入する際に調べたこと(源泉税・プラットフォーム等)

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こんにちは。
KSG Holdings Ltd.の司法書士 熊木です。

昨年7月、Xに上記のようなポストをしました。

その後、私もInteractive Broker で口座を開設し、アイルランド籍のETFへ投資を開始しましたので少しシェアしておこうと思います。

まず、上記ポストの内容について補足しますと、
マレーシア居住者がS&P500やオルカンのETFへ投資する場合、
アメリカ籍のETFを購入するのではなく、
アメリカの資産運用会社がアイルランドで組成したETFに投資をするのがベターと言われています。

というのも、
マレーシアはアメリカと租税条約を締結していないため、
マレーシア居住者がアメリカ籍のETFや株式などから配当を受ける場合、
アメリカの通常の源泉税率(30%)が適用されてしまうためです。

この点、
マレーシア人の投資ブロガーのこちらのブログ記事などでも詳しく解説されており、
マレーシアとアイルランドの間には租税条約があるため軽減税率が適用されるとのことです。

実際、私のマレーシア人の友人複数名にも聞きましたところ、
彼らも、S&P500やアメリカの資産運用会社が運用しているETFなどへ投資する場合は、
アイルランドで組成されてロンドン市場に上場している方を購入するとのことでした。

なお、上記のブログ記事には軽減税率が15%と書かれていたのですが、
実際にマレーシア・アイルランド間の租税条約を調べてみたところ、
15%という数字は見つけることができず、むしろ、アイルランド歳入省のウェブサイトで調べますと、以下のとおり10%という数字がありました。

Tax treaties rates
https://www.revenue.ie/en/tax-professionals/tax-agreements/rates/index.aspx

Tax treaties rates
https://www.revenue.ie/en/tax-professionals/tax-agreements/rates/index.aspx

ただ、もしかすると、
このETFは、アイルランド国外の会社(アメリカの会社)に投資するETFですので、この差分(5%)は、投資先(アメリカ)からアイルランドETF本体へ配当がされる際にアメリカ側で5%の源泉税が引かれ、その分も考慮すると投資家側の負担額は合計15%になる、ということなのかもしれません。

なお、この点は、私は税務の専門家ではなく、
アイルランドとマレーシアの租税条約やアイルランド側の最新情報や詳細は把握しておりませんので
もしアイルランド籍のETF等へ投資される際はご自身でしっかりと調査のうえ
自己責任でお願い致します、
ということは申し添えておきます。

配当に対する課税問題に加えて、
将来的に、ETFの価額が高騰し利益が出た場合、
売却した際にアイルランド側の税務でキャピタルゲインに対して課税されるかどうかも重要となります。

むしろ、ETFのような長期投資の場合、
配当が自動的に元本を購入する原資に充てられるタイプのものを購入することが多いでしょうから
配当に対する課税よりもキャピタルゲインに対する課税の方が私としては気になるところです。

この点、
「capital gain tax in ireland for non resident」などで検索して調査した結果としては、

  • アイルランド非居住者の場合、「一定の資産のみ」キャピタルゲイン税の対象となる。
  • 「一定の資産」とは、アイルランドの不動産、アイルランド国内の未上場会社の株式など

という結論である可能性が高いと感じました。

つまり、

「ETFのように上場している金融商品のキャピタルゲインに関しては、アイルランド非居住者に関しては、アイルランド側では課税されない」

というのが今の時点の私の結論です。

ご参考として、この点に関して、
アイルランド歳入省や、世界4大会計事務所であるPWCのウェブサイトの関連部分のスクリーンショットを以下に貼っておきますので、
もし私のこの記事をみてアイルランド籍のETF購入をご検討される方がいればご自身でもご確認ください。

アイルランド歳入庁
https://www.revenue.ie/en/gains-gifts-and-inheritance/transfering-an-asset/index.aspx

PWCウェブサイト
https://taxsummaries.pwc.com/ireland/individual/income-determination

もし、マレーシア居住者の方で、私のようにアイルランド籍のETFや海外市場への投資を検討される場合、マレーシアの銀行経由で海外投資をする選択肢もありますし、Interactive Broker等の海外の投資プラットフォームを利用して投資を行う選択肢もあります。

私自身は、元々マレーシアへ来た際にはマレーシアのローカル銀行で投資用口座を開設し、マレーシア国内の株式やREITへの投資、アメリカ市場に上場しているアメリカ株への投資を開始しました。

そして、この度、アメリカの資産運用会社が組成しているETFへの投資を開始するにあたって調査したところ、アイルランドで組成されたETFを買うことでも同じ目的を達成できることを知りましたので、
「アイルランドで組成されたETFを購入できるプラットフォームであり、かつ、マレーシアの銀行よりも手数料が安いプラットフォーム」を調査した結果、下記のInteractive Brokerが良さそうという結論にいたり、利用することになりました。
(ちなみに、購入しているETFはS&P500やオルカンではなく、今後成長するであろう産業を対象としたETFに投資しています)

Interactive Brokerでの口座解説に興味がある方は下記のリンクからご覧になってください。
日本語に切り替えることも可能ですので、英語が苦手な方でも大丈夫です。

Interactive Broker(インタラクティブ・ブローカー)

なお、すべてのプラットフォームを比較検討したわけではないですので、
Interactive Brokerが最も安いと保証するものではありませんのでその点はご留意ください。

 

それではまた。

2024年2月26日

司法書士 熊木 雄介
Email: info@office-kumaki.name

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