この記事を読むのにかかる時間: < 1 分こんにちは。
KSG Holdings Ltd.の司法書士 熊木です。
前回のブログ記事にてご案内させていただいた2021年11月22日のラブアン税制改正につきまして、アップデートがありましたのでシェアさせていただきます。
弊社クライアント様には、順次、提携先のラブアン信託会社から同内容がメールで届くかと思いますので、ご確認お願い致します。
1.ラブアン税制の対象として追加された業種のラブアン法人が求めらているアクション
最新の税務署からの発表によりますと、11月22日にラブアン税制の対象として追加された業種にあてはまるラブアン法人は、それぞれの現時点での税申告の状況に合わせて、以下の対応が必要とのことです。
1)2020年度までの申告をすでにラブアン税制のみで完了しているラブアン法人は、再申告等の対応は不要
2)2020年度までの税申告をラブアン税制(LBATA)でもマレーシア税制(ITA)でもどちらもまだ行っていないラブアン法人は、2021年12月15日までに、どちらの税制で申告するかを選択のうえ申告を完了させる。
※ご注意としまして、マレーシア税制を選択した場合には、もはや将来的にラブアン税制に戻ることはできない、とされています。
※なお、申告期限があまりにも急ですので、ラブアン信託会社協会が税務署に対して、期限の延長の申立を行っているようです(認可されるかどうかはまだ不明です)。
3)2020年度までの税申告をラブアン税制やマレーシア税制で完了しているラブアン法人の場合は、2022年1月15日までに、どちらの税制を選択するかを選択する必要がある
※上記の2と同じく、マレーシア税制を選択した場合、将来的にラブアン税制に戻ることはできない、とされています。
両税制のメリット・デメリットをひとまず簡単に申し上げますと、
マレーシア税制に留まった場合、
メリットとして、「利益RM600,000までは税率17%が適用される」というものがありますがが、
デメリットとして、「予定分納や源泉税申告が必要となり、税務の手間やコストがあがる」となったり、「ステップ3のTax Agentによる課税所得計算の際に損金として認められない経費が発生する」等があります。
ラブアン税制に戻った場合、
メリットとしては、「ラブアンに最低2名のフル勤務従業員をおく等の経済的実体要件を満たした場合は優遇税率の3%が適用される」「予定分納や源泉税が適用されず、税務の手間やコストは下がる」等がありますが、
デメリットとしては、「実体要件を満たさなかった場合は一律24%課税となり、17%適用はない」などがあります。
また、まだはっきりしておりませんが、
ラブアン税制に戻す方を選択された場合、単に2021年度以降の申告をラブアン税制での申告で行えばよいだけで済めばよいのですが、
もしかすると、すでにマレーシア税制で完了した2019年度、2020年度の再申告や申告をラブアン税制で更にやり直すということも必要となるかもしれません。
その場合、ラブアン税制での申告に必要なステップ2まではすでに完了していますのでそれほど手間はかからないかとは思うものの、申告書類へのご署名などは必要となるかと思いますし、経済的実体要件を満たしていなかった年度は、ラブアン税制上の24%が一律で適用となりますので、マレーシア税制での申告の際に支払った税金(RM600,000までは17%)との差額を支払う必要があるケースも生じるかと思います。
ただ、そもそも、上記の判断をする以前の重要な問題点としまして、
今回ラブアン税制対象として追加された業種のうち、Administrative services、Agency services、Management services等に関して、具体的にどのような事業内容の会社がこれに該当するのか、という重要な部分に関して税務署や財務省が明確な回答をしない状態が続いており、判断が非常に難しい状況です。
懸念点として、
今の不透明な状況の中、自分の解釈でラブアン税制に戻り、ラブアン税制での申告を再開した場合に、
将来、自社の事業がラブアン税制の対象になる業種ではないと税務署に判断されてしまいますと、遡ってマレーシア税制での申告が求められ、17%/24%+ペナルティの追徴課税を課されるという怖さがあります。
また、別の懸念点として、経済的実体要件に関しても、
単に名義借りのような形式的なもので税務署が認めるのであれば、提携先のラブアン信託会社などが「オフィス+名義貸し+それらの従業員の毎月の社会保険手続きなどの代行」のパッケージを提供していますので、それらを利用すればよいですが、
もし将来、税務当局の解釈が厳しくなり、従業員が実際にラブアンのオフィスで毎日働いている実体を遡って求めてくるようなことがあれば、
実際にラブアンで働いてくれる人を募集して、タイムカード、仕事をしている証拠(メールやり取り)などを残しておく必要があったということになりますので、
単に名義貸しパッケージを利用していただけで、実際にはその従業員がラブアンオフィスで働いていた痕跡がないような場合は、後から税務署に実体要件を否認されてしまい、ラブアン税制上の一律24%+ペナルティを遡って課されるということになってしまうという怖さもあります。
(したがいまして、私の考えとしては、
ラブアン税制に戻り、経済的実体要件を満たすことを目標とされるなら、名義貸しサービスのようなものをご利用されるのではなく、
実際にラブアンで採用活動を行い、オフィスで働いてくれる人を採用し、
タイムカードや仕事の記録なども残しておくという方向もご検討いただいた方が良いかと思います。採用活動や面接、契約書などに関してはラブアン信託会社にサポートしてもらうことが可能です)
2.2021年度に関して資産保有会社に必要なアクション
2021年11月22日の税務署通達によりますと、資産保有(Investment holding)を行っているラブアン法人は、経済的実体要件のひとつとして、
2021年度に関しても、少なくとも1回の取締役会をラブアン島にて行うことが必要、ということとなりました。
(2021年12月8日追記:この要件は、Pure Equity Holding Activity、つまり株式の保有のみを行っている資産保有会社に適用されるものであり、Non-Pure Equity Holding Activity、つまり株式以外の資産(債券など)の保有を行っている場合は適用されない、とのことです。ただ、正確な最新情報は各自、ラブアン信託会社やTax Agentにダブルチェックをお願い致します)
その他の実体要件(ラブアン島におけるフル勤務従業員やオフィスや支出など)を満たしていたとしても、この取締役会の要件を満たしていなければ、実体要件を満たしていないと認定され、24%の課税となりますので、ご注意ください。
もし2021年中、まだラブアンを訪問されていない場合は、年末までにラブアン島をご訪問いただき、取締役会を開催していただくか、あるいは、訪問することが難しい正当な理由がある場合はこの要件の免除を申請できる制度もあるようですので、ラブアン信託会社とお話し合いになるとよいかと思います(ただし、免除が認可されるかどうかはケースバイケースとのこと)。
免除される正当な理由としては、
Covidによる旅行制限、入国制限などでマレーシアへ来ることができない、ラブアンへ行くことができない、というようなものである必要があり、それらに関するサポート書類の提出も必要であるとのことです。
またアップデートがありましたら、このブログでシェアさせていただきます。
それではまた。
2021年12月7日
司法書士 熊木 雄介
Email: info@office-kumaki.name
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