こんにちは。
KSG Holdings Ltd.の司法書士 熊木です。
税務署からの通達による新ルールが2019年度に遡って適用され、
2019年度の再申告が求められる件ですが、
一点、おそらく勘違いが生じていそうな点を予め補足しておきますと、
2019年度の決算の際に、実体要件を満たしていないことを理由として24%で申告をされた方も、今回の再申告の対象になるとされています。
2019年度の申告の際には、
その時点のルールに基づいて、Other Trading に該当する業種は、
(実体要件を満たしていれば)
Auditorによる会計監査を受けたうえで、監査レポート上の利益に対して3%で申告
(実体要件を満たしていなければ)
Auditorによる会計監査を受けたうえで、監査レポート上の利益に対して24%で申告
が行われましたが、後者の24%の申告は
その当時適用されるとされていたラブアン税法上での24%ですので、
今回の税務署の通達が遡って適用されることにより求められる「通常のマレーシア税制(Income Tax Act)での申告」による24%とは異なるものです。
以前のブログ記事にも書きましたが、
ラブアン税法での申告の場合は、
第一ステップ:会計帳簿作成
第二ステップ:Auditorによる会計監査
第三ステップ:上記の2で作成された監査レポート上の利益に対して3%または24%の課税
となりますが、
マレーシア税法での申告の場合は、第三ステップが大きく異なりまして、
第一ステップ:会計帳簿作成
第二ステップ:Auditorによる会計監査
第三ステップ;Tax Agentを選任し、マレーシア税法に基づいて課税所得を計算してもらった後、その課税所得に対してマレーシア税法の税率(17%~24%)を適用して税率が算出され、税申告・支払いを行う
ということになっております。
ラブアン税法での申告の場合は、
「第二ステップ:Auditorによる会計監査」によって作成された会計監査レポート上の利益(=会計ルールに基づいて算出された利益)が課税所得となっていたのに対して、
マレーシア税法の場合は、会計上の利益が課税所得となるのではなく、
税法上、「損金として認められるかどうか」という別の論点なども考慮されて課税所得が決定されることとなります。
「会計上は経費として計上すべきだけれど、税法上は損金として認められない」というものもありますので、
課税所得が違ってくることになります。
(念の為補足しますと、
第一ステップや第二ステップの計算が間違っていたということではなく、
会計上と税務上では、まったく別のルールが適用される、ということによるものです)
再度、結論としまして、
2019年度の決算の際に24%で支払いを行ったクライアント様も、
今回の新しいルールが遡って適用されることとにより、2019年度の再申告(上記のステップ3)の手続きが必要となりますので、信託会社からのメールをご確認いただき、ご準備くださいませ(2021年3月31日が期限)。
なお、この2019年度の再申告が求められる件は、
昨日、裁判所へ司法判断を求める動きがある件をブログに書いていますので
併せてご参照ください。

2021年2月24日
司法書士 熊木 雄介
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