こんにちは。
KSG Holdings Ltd.の司法書士 熊木です。
2019年のラブアンの税法改正により、
ラブアン法人がリンギットでの取引やマレーシア法人・居住者との取引をした場合も
ラブアンの税法を適用する旨の改正がされました。
これを受けて、「ラブアン法人を利用してマレーシア国内でのビジネスをしたいのですが」というお問い合わせを多くいただくようになったのですが、
私としては、マレーシア国内でのビジネスやマレーシア国内を絡めたビジネスについては
やはり今までどおり普通のマレーシア法人で行うことをお勧めしています。
と言いますのも、
2019年の改正により、マレーシア法人・居住者との取引にラブアンの税制が適用される旨の改正がされる代わりに
その取引の相手方であるマレーシア法人・居住者側の税務では、ラブアン法人に支払った金額のごく一部しか損金処理ができない旨の改正がされました。
つまり、相手方にとっては税務上の大きなデメリットがありますので、
御社のサービスや商品がマレーシア国内で替えのきかないものであったりしない限りは、商談を成立させるのは難しいかと思います。
また、
ラブアン法人は、本店はラブアン島におかなければならず、
その他の地域でのオフィス設置については、
例外的に、ラブアン当局からのライセンスを得たうえで、クアラルンプールやイスカンダル地域にスタッフ4人までのマーケティングオフィスを置くことができるという制度になっています。
そのライセンス料も毎年20万円ほど支払いが必要となるものですので、
首都クアラルンプールにオフィスや店舗をかまえてスタッフも多く配置してビジネスを行う
には適していません。
さらには、
税法上は、マレーシア法人・居住者との取引が認められるようになったものの、
税法以外ではまだそれに沿った改正が行われていない部分がまだ多くあります。
たとえば、ラブアン法人にはもともと「マレーシア法人・居住者と取引をした場合には、原則として10日以内にラブアン当局への報告が必要」という制度がありますが
この報告義務もまだ撤廃されておりませんので、今のところまだ報告が必要です。
銀行取引の場面でも、まだ銀行はこの改正を理解していない様子があり、
最近の弊社クライアント様の事例で、取引先であるマレーシア法人からのリンギットでの入金に関して、受け入れできない旨の連絡が銀行からあったという事例もありました。
・・・というような次第ですので、
マレーシア国内でのビジネスや、マレーシア法人との取引にラブアン法人を利用することを検討されている方がいらっしゃれば、
私からのアドバイスとしては、やはり普通のマレーシア法人を利用されることをお勧めいたします。
あと、この件に限らず、
私の経験上、マレーシアでは、例外的なことや一般的でないことに関しては何事も手続きが進むのが異常に遅くなったり、放置されることがありますので、
ラブアン法人を使ってのマレーシア国内向けビジネスも様々な場面で時間がかかることが予想され、
その点からもお勧めできないです。
それではまた。
2019年6月23日
司法書士 熊木 雄介
Email: info@office-kumaki.name
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