【ラブアン法人】居住取締役要件に関するアップデート

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こんにちは。
KSG Holdings Ltd.の司法書士 熊木です。

以前このブログや弊社ラブアン法人ガイドでも少しご案内致しましたが、昨年6月のラブアン会社法改正により、会社法上の要件として「1名以上の居住取締役(Resident Director)」が求められるようになりました。

これは会社法上の要件ですので、税務上、御社が経済的実体要件を満たさずに24%の法人税を支払っている場合でも満たさなければならない要件です。

ただ、この居住取締役要件が追加された後、その具体的な定義/就任資格に関してラブアン当局から発表されない状態が長く続き、その間、「マレーシアに住んでいない外国人」「就労ビザを持っていない外国人」でさえも居住取締役としての登記が受理される、という不思議な実務状況が続いておりました。

この点、ようやく昨日ラブアン当局から交付されたQ&A形式の文書の中で居住取締役の就任資格について言及があり、以下のいずれかに該当すれば居住取締役に就任することができるとされました。

1.ラブアン信託会社のTrust Officerの資格を持つ個人;または、

2.18歳に達した自然人で、完全な法的能力を有する者(すなわち、破産者でない者);または、

3.ラブアン金融庁が定める要件を満たし、文書で同意した自然人。

なお、上記3の「ラブアン金融庁が定める要件」については、まだ発表されておりません。

以下、居住取締役(RD:Resident Director)の就任資格に関する原文です。

 

このQ&Aにおいて、「居住取締役の国籍や居住地に関する資格要件はありますか?(Is there any qualifying criteria related to the nationality or residency of a Resident Director?)」という質問があり、それに対する回答として、「研究開発者は、国籍や居住地を問わず、世界中のどの場所に住むこともできます。(A Resident Director can be of any nationality and/or reside at any place in the world.)」と回答がありました。

したがいまして、懸念していた「取締役の1名がラブアン島に住まなくてはならない」という事態は避けることができたと言えるかと思います。

なお、結果的に、「居住取締役」という言葉の一般的な意味合いとかけ離れた制度となりましたが、昨日のラブアン当局からのQ&Aによれば、この居住取締役が導入された趣旨としては、法人取締役のみで個人の取締役がいないラブアン法人が多く存在したため、それらの会社に個人取締役を選任させコーポレートガバナンスを改善させるためとのことです。おそらく、昨今の世界的な流れとして、タックスヘイブンの国々に透明性・マネーロンダリング対策等を求める流れがありますので、それに合わせて法人取締役のみの法人を禁止し、自然人取締役を求める制度にしたということがあるかと思います。(あるいは、もしかすると当初は本当にマレーシアかラブアンに居住している取締役を求める意図があったのかもしれませんが、現場からの反対に押されて結局このような説明になった可能性もあります)

 

このQ&Aも昨日発表されたばかりですので、今後実務を進めるうえで何か別の論点が発生するかもしれません。その際はまたこのブログにてシェアさせていただきます。

 

2023年2月15日

司法書士 熊木 雄介
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